文春学藝ライブラリー
失われた兵士たち―戦争文学試論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 478p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784168130472
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

七歳当時、諫早から長崎の爆心地を遠望し終戦を迎えた芥川賞作家が、戦後続々と刊行された有名無名兵士の戦記を読み、戦争を問う。

芥川賞作家が読み解く有名無名の戦記たち

七歳当時、諫早から長崎の爆心地を遠望し終戦を迎えた芥川賞作家が、戦後続々と刊行された有名無名兵士の戦記を読み、戦争を問う。

内容説明

「文学の域にまで高められていないという理由で軽んじられ話題にもならず忘れ去られた書物の一群がある。私がとりあげるのはそのような本である」。自費出版、パンフレット類を含め五百冊を超える戦記を蒐集、読破した芥川賞作家。無名兵士たちが綴った言葉の数量と戦場の真実。

目次

敗者が得たもの
虚実
さすらう兵士たち
巨大な陰惨
生者と死者と
河辺の無名兵士たち
海の光
勝利者と敗者と
栄光
象徴〔ほか〕

著者等紹介

野呂邦暢[ノロクニノブ]
1937(昭和12)年‐1980(昭和55)年。長崎市生まれ。長崎県立諌早高等学校を卒業後、いくつかの仕事を経て、1957(昭和32)年、佐世保陸上自衛隊相浦第八教育隊に入隊。翌年、北海道陸上自衛隊にて除隊。1965(昭和40)年、「ある男の故郷」が第21回文學界新人賞佳作に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三平

12
太平洋戦争とは日本人にとって何だったのか。芥川賞作家の著者が自費出版までも含めた膨大な戦記を読み解き、マクロの視点からではなく現場の兵士たちの体験から迫っていく。 戦勝国から要求されたゆえのものではなく、主体的かつ客観的に戦争を省みようという試みを行っている。よって、誇張された自慢話や誤認は排除し、戦争記録の読み方の指針としても為になる。 元自衛官の著者が自衛隊員向けの会誌に連載していただけあって、左右の思想を排除して過ちを見つめる視点が他の本にない興味深い点だった。2017/03/18

CTC

7
自衛隊体験のある芥川賞作家による“戦争文学試論”。初出は隊員向け会報誌『修親』の連載。著者は終戦時7歳、20歳で自衛隊入隊し(翌年除隊)、37で芥川を獲った。連載はその次の年からという事だが…著者は本書執筆当時迄に刊行された戦記の、実に9割を読破していたという。本書は“戦争文学試論”との看板を掲げるが、「九死に一生を得て帰って来た無名の人々が、有名になろうとかひと儲けしようとかいう下心なしで、家業の合間にこれだけは子孫に伝えたいと心血を注いで書き綴った文書」を対象としている。およそ80の書を収録している。2015/08/05

novutama

3
およそ40年前に自衛隊の「修親」なる雑誌に連載されたもの。生家があった長崎に原爆が落とされたのを幼かった著者は疎開先の諫早で遠望している。彼の戦争と軍隊への執心はそこから始まっているのだろう。有名無名の手記を主張が偏らぬよう気を配りながら紹介してゆくのだが、末端の兵士の命を微塵も顧慮しない無謀な作戦、兵站の著しい欠如には怒りを隠せない。それでも著者は「戦争のなかに現れた軍人の欠陥は、そのまま日本人の欠陥である」と記す。先の戦争に無関心であるということは、自らの欠陥に無関心であるということなのかもしれない。2017/12/24

Aminadab

2
勢古浩爾のブックガイドに紹介されていたので読んでみた。文学者の手になる「戦争文学」ではなく、軍人や一般の従軍者が書き残した「戦記」を1975年時点で500点も集め、ニューギニア、フィリピン、沖縄など戦地ごとに紹介している。これは読み得本だ。終戦時7歳の著者だが、大岡昇平『レイテ戦記』を五回読んだというだけあって目利きは確か、長文引用は読み応えがあり、作家だけあって地の文が読みやすい。八原博通『沖縄決戦』がちょうど復刊されているので読んでみようかな。あと小松真一『虜人日記』。2017/09/27

あまたあるほし

2
名著復刊。自衛隊OBの会報誌に書かれた、戦記を分類して解説したものをまとめたもの。単なる書評本ではなく、戦場にいた日本人たちの足跡を野呂の美しい文体で、捉え直す。とにかく、野呂の編み方と挟み込まれた文章が、何度読んでもたまらない。戦争を語るには外せない一書。2015/08/04

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