出版社内容情報
信之のために生きる男は、親の仇の娘を前に何を思うのか。
関ケ原から3年。徳川の世を生き抜く真田信之。
一方、父・真田昌幸と弟・真田信繁(幸村)は、いまだ九度山で流人として暮らしていた。
敵味方に分かれたからといって、親子でも兄弟でもなくなるわけではない。その複雑な関係の間を行き来するのが、信之の家臣、鈴木右近だった。
信之が表立って担いにくい仕事を引き受け、その思いを支える。右近は少しずつ、信之にとって特別な家臣になっていく。
だが右近自身にも、少年の頃から決して消えることのなかった思いがあった。両親の仇・中山九兵衛を討つ。
やがて九兵衛へつながる手がかりを得た右近は、その行方を追って伊吹山へ。
主君への恩を忘れず、両親の仇を追い続けてきた右近。だが、長いあいだ揺るがなかった思いが、仇の娘と出会ってしまったことで思いもよらぬ形で試されることになる。
人を憎むとはどういうことか。そして、本当に守りたいものは何なのか。
のちに信之から、ただ一人殉死を認められる家臣・鈴木右近。その「純情」が大きく揺れる、シリーズ第4弾。
【目次】
序章 邂逅、民部少輔様
大一章 沢庵の教え
第二章 信之、九度山を訪れる
第三章 琵琶湖の東――伊吹山情話
第四章 右近、善行を積んでしまう
終章 九度山に死す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
39
慶長八(1603)年から始まる本書は、『三河雑兵心得』を追い越して、徳川の世が定まりつつある時代になった。その冒頭で植田茂兵衛と出会う場面は象徴的だ。まだ在野にある沢庵和尚に対する右近の嫌悪は健在だが、師・柳生宗章の死を悼む姿に、少しは見直したようだ。九度山で雌伏の時を過ごしていた表裏比興者・真田昌幸は、大坂冬・夏の陣で活躍することなく亡くなった。右近に宛てた遺書が、今後どのように効いてくるか? 愛馬・赤光との別れもあり、右近の周りが劇的に変わる予感が……2026/10/26
りゅうのすけ
7
真田昌幸を初め兄弟がそれぞれ個性的で面白いです。しかしお家を守るという共通の志があり…その点では一致しています。しかしその下で仕事するのはたいへんかも…。会社組織でも同様かもしれません。いつもながら井原忠政さんの構想力は素晴らしいと思います。2026/10/20
coldsurgeon
7
鈴木右近を主人公とする戦国末期を描く時代小説。江戸幕府の開幕とともに、大きな戦は起きそうにない時代に入り、右近主従は、上田と九度山との定期的な往還を担っている。怨敵を追い続ける主人公、怨敵を生む原因とななった名胡桃城事件の真相が、真田昌幸の手紙で明らかにされる。復讐に生きてきた主人公の思いは、どう変化するのだろう、今後。2026/10/12
やま
6
シリーズ4作目。タイトル通り真田昌幸の胸の内が、胸が熱くなりました。2人の子供が当時し今後の展開が楽しみです。2026/10/25
Abercrombie
4
米子騒動の後はやはり書くことがないんだね。九度山詣でと山賊に落ちぶれた仇を求めての伊吹山探索(見つかったのは仇が農家の娘に産ませた娘=従妹に当たる)くらい。その二つの繰り返しだけでページと年月が稼がれる。昌幸の死後、遺言書としてようやく名胡桃城事件の真相を知らされる主人公。引っ張りまくったなぁ(仇討ちの方はまだまだ引っ張る)。2026/10/26
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