出版社内容情報
【2025全米図書賞・翻訳文学部門】ロングリストに日本人作家として唯一選出!
25の国と地域で翻訳決定。話題沸騰の芥川賞受賞作がついに文庫化。
「私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付し、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」と呟く。
ある日、グループホームのヘルパー・田中に、そのアカウントを知られていることが発覚し――。
【文庫版の特徴】
・ルビを大幅に増やしました。
・著者が執筆にあたり大きな影響を受けたと語る『凜として灯る』の著者・荒井裕樹氏との往復書簡「世界にとっての異物になってやりたい」(「文學界」2023年8月号)は、大変話題となりましたが、今回新たな書簡を特別付録として追加し、全文を巻末に収録しました。
【目次】
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
61
文庫になっていたんですね。早速購入しました。すごい小説です。驚いた。とても嫌らしい物語だけど、なんだか咀嚼しやすさも感じます。嫌らしいというのは行為ではなく。人間の心の部分です。2025/11/15
よっち
35
身体の障害を抱える井沢釈華の鬱屈と心の叫びから、身体の痛みと社会の視線を鋭く描いた物語。両親が遺したグループホームの十畳の自室から、有名私大の通信課程に通い、しがないコタツ記事を書いては収入の全額を寄付、18禁TL小説をサイトに投稿し、零細アカウントで呟く日々。冗談交じりに語る言葉には社会の価値観や女性の生きづらさへの鋭い皮肉だけでなく、彼女の孤独や社会との摩擦も垣間見える中、障害や社会的な枠組みに囚われずに生きることの難しさと、それでも自分らしく在ろうとする強さにはなかなか鮮烈なインパクトがありました。2025/11/04
水色系
24
安易な感想が書けない本。身体的には弱者、金銭的には強者の主人公。そんなんしたらいかんと言うのは簡単でもアンタは身体障害がないから私の気持ちが分からないんだと言われたら黙るしかなくなる。弱者と強者は相対的なものだと語る作者だが、私も自覚的に生きないとな。無意識に人を傷つけてはいけないな。2025/10/21
やまはるか
23
朝日新聞に載った長い寄稿文がきっかけで読むことに。先天性の重度障害ミオチュブラー・ミオパチーの主人公が、親が娘のために残したグループホームでヘルパーなどの介助を受けて生活する。筋力が弱いため脊椎が真っすぐ維持できずせむし状の姿勢になる。「せむし」にハンチバックのルビが振られている。呼吸も移動も自力で出来ない壊れやすく危うい肉体と自由で強靭な精神。作者の芥川賞の授賞式の映像と重なって超リアルだった。2025/11/11
おいしゃん
17
芥川賞作品。受賞作の中でも、いつにも増してインパクトが強い世界観だった。2025/11/13




