内容説明
世界的な人気を集める一方で、多くの謎が残るヨハネス・フェルメールの生涯とその作品。彼が生きた17世紀のオランダは、経済の繁栄と精神の自由を庶民までもが謳歌し、約2000人の画家が活躍した“奇跡の時代”だった。レンブラントやハルス、メツー、メーリアンらも生きた黄金期のオランダを、絵画エッセイの名手が読み解く。
目次
都市
独立戦争
市民隊
女性たち
必需品
宗教
風車と帆船
東インド会社
実学志向
食材
チューリップ・バブル
悪場所
事件
手紙
遊び
著者等紹介
中野京子[ナカノキョウコ]
北海道生まれ。作家、ドイツ文学者。2017年開催「怖い絵展」特別監修者。西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに、絵画エッセイや歴史解説書を多数発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
140
17世紀オランダ絵画はフェルメールとレンブラントが有名だが、彼らの背後には当時の貿易帝国オランダがあった。他国と違って貴族や聖職者が富を独占せず、経済繁栄で誕生した中間層がこぞって自宅を飾る絵を求めたため多くの画家を輩出した。プロテスタントのオランダ人は基本的に黒服系の肖像画を好んだが、派手な色柄や特異な題材を求める顧客もいた。本書では主にそうした作品を取り上げ、大河ドラマ『べらぼう』で描かれる浮世絵が流行した江戸時代と同じく、美や芸術は庶民の所得が底上げされた平和な時代にこそ飛躍するのだと教えてくれる。2025/08/24
坂城 弥生
36
フェルメールだけでなく当時のオランダを描いた作品がたくさん紹介されていました。2025/05/16
Shun
32
中野京子さんの絵画エッセイもいつの間にか14冊目を読了。本作は日本でも大人気の、オランダが生んだ画家フェルメール作品を中心にオランダの歴史・風俗を絵画を通して読み解きます。思い返してもオランダの歴史に焦点を当てて学んだことはなく、分量はそう多くはないものの本書を読んで随分と見えてくるものもありました。西洋絵画の歴史において、オランダは屈指の絵画大国であったこと。そして地政学的に安定した風土と貿易で潤った財政は庶民でも絵画を飾れるようになり、描くテーマも庶民の生活といったものが一般的となっていった。2025/07/29
えつ
16
フェルメールというだけで手に取った。フェルメールの作品以外にもオランダの画家さんの作品、載ってた。でも何よりオランダについての描写がすごい。本当、歴史書。知らないことしか書いてなかった勢い。勉強になった。でも多分すぐ忘れる。笑2025/06/09
活字スキー
16
【この世は神が造ったが、オランダはオランダ人が造った】現在ではなにかと優等生的なふんわりしたイメージしかないが、歴史をひもとけば大英帝国やスペインとバチバチにやり合っていたこともあるオランダ。そんな北欧の小国の黄金時代(オウゴン)を、フェルメールを中心とした名画と共に巡るアート・歴史・雑学エッセイ。フェルメールは作品数が少ないので、何らかの形で見たことがあるものばかりだが、触れるたびに何度でも新たな魅力で楽しませてくれる。『地理学者』『天文学者』が着てるのが日蘭貿易でもたらされたドテラだったとは⋯⋯2025/05/22
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