内容説明
老漁師はひとり、海に漕ぎ出した。やがて一匹の大魚が針にかかり、大海原での孤独な戦いがはじまる。不朽の名作「老人と海」に、巨匠のドライな文体が冴えわたる犯罪小説の名編「殺し屋」、戦傷を負った青年の日々を静かにスケッチする「遠い異国にて」他、十短編を併録。ノーベル文学賞受賞作家の「基本」を一望できる画期的新訳。
著者等紹介
ヘミングウェイ,アーネスト[ヘミングウェイ,アーネスト] [Hemingway,Ernest]
1899年、アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。20世紀アメリカ文学を代表する小説家。幼少時より釣りや狩猟に親しむ。第一次世界大戦時に北イタリアで負傷。戦後、新聞記者としてパリに渡り、文学者との交流に刺激を得て小説を書きはじめる。1953年にピューリッツァー賞、54年にはノーベル文学賞を受賞している。代表作に『武器よさらば』『日はまた昇る』『われらの時代』などがある。61年没
齊藤昇[サイトウノボル]
立正大学文学部教授(文学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アナーキー靴下
66
以前『老人と海』を読みショックを受け、ヘミングウェイはもう読むまいと思っていたが、お気に入りの方のレビューが魅力的過ぎて読んでしまった。そしてニック・アダムスの短編、とても良かった。イーユン・リー『ガチョウの本』にあった言葉「このときにどう感じたかいちいち書かなくても、あなたが感じていることが削ぎ落とされた文から伝わってくる」を彷彿とさせる卓越した筆致。言動の裏には生きた人間の心がある。出来事に対する行為のみならず何に引き寄せられるか、着眼点さえその人を表す。ニックの成長を如実に感じさせる連作短編である。2025/03/19
春ドーナツ
14
「WEB本の雑誌」の新刊案内で本書を見たときに、この機会を逃すとヘミングウェイを読み返すことはないなと思い、素敵な装丁だなと感じた。奥付によると三か月積んだ。昔新潮文庫で「全短篇」が刊行された頃に紐解いて以来のニック・アダムスもの(「殺し屋」)になるので、「老人と海」と同様ほとんど覚えていないと思いきや、前者はそっくり記憶していて驚いた。確かに不穏でとても印象的な作品だと思う。齢を重ねると、ページをめくり始めた途端「ああ、この話か!」と時間が巻き戻る感覚はなかなか味わえないものである。素直に嬉しかったです2025/04/13
ケー
11
世界文学の王道。タイトルが味気ないと感じるとか言う身勝手な理由でずっと読んでこなかったのだけれど、今回出た新訳の表紙があまりにもカッコ良すぎたのでジャケ買いしてそのまま一気に読了。やはり表紙は大事。中身について。『老人と海』、あらすじはなんとなく知っていたけれど、改めてちゃんと読むと老人と巨大魚の関係性ってモンスターハンターシリーズにおけるハンターとモンスターの関係性に似てるよなー、って感想。お互い極めきった者同士だからこそ言葉ではない感覚で通じ合うものってきっとあるよね。それを文学で表現したのが凄い。2025/02/04
さぶろうの領土
5
もしヘミングウェイの短編を読んだ事が無い人がいたら、是非この本の後半の『ニック・アダムスの短編』をいくつか読んでみて欲しい。お勧めをしているのでは無い。読んで率直な感想を聞いてみたいのです。私は初めて読んだ時「本当に退屈でつまらないし、あまりにも飾り気の無い文章は物静かで雑音が無く、それ故に読み終わった後に余韻も何にも残って無い」と思った。物語も【本当は1万ページくらいある物語の5ページだけそのまま切り取った】ような感じで、始まりらしい始まり方もしなければ、終わりらしい終わり方もしないしで 2025/02/17
栄吉
3
★★☆☆☆ ちまちま読む。「殺し屋」が面白い。改めてこの読むがドライな感想。2025/04/30