内容説明
明和八年、道頓堀で近松半二の「妹背山婦女庭訓」は人々を熱狂の渦に巻き込む。芝居道楽が高じて絵にも義太夫節にも才を見出す者、半二の娘を頼る弟子、半二に敵わないと歌舞伎へ移った者…。操浄瑠璃に魅せられた人々の人生を喜怒哀楽豊かに生き生きと描く。直木賞&高校生直木賞W受賞『渦』に続く群像物語。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年愛知県生まれ。92年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の『ピエタ』は第9回本屋大賞第3位。19年刊行の『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で第161回直木賞、第7回高校生直木賞、第9回大阪ほんま本大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
158
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。大島 真寿美、4作目です。直木賞&高校生直木賞受賞『渦』の続編、人形浄瑠璃に魅せられた人々の連作短編集です。 オススメは、『水や空』&『硯』となります。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167922573?utm_source=books_sp&utm_medium=cpa&utm_content=uzu2024/10/11
Shoji
31
江戸時代、文楽「妹背山女庭訓」は空前のヒット作となり、作者の近松半二は大スターとなった。半二に憧憬を抱く者たちは、第二の半二を目指した。しかし、夢の実現は紆余曲折だ。歌舞伎が性に合った者、同じ文楽の世界でも太夫の才能を開花させる者、絵師を志した者など様々だ。芸術の世界は一筋縄ではいかないようだ。一つだけ言えることは、大成を成すには、まず「好きこそ物の上手なれ」と言うことらしい。史実と創作をうまくミックスさせた物語のようです。とても面白かった。読み終えて今、国立文楽劇場の次の公演を検索中です。2024/09/05
ユメ
16
前作『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』では、操浄瑠璃の魅力に取り憑かれた人々の熱狂の坩堝が、浄瑠璃の演目中で描かれる登場人物たちの心情と結びついてさらなる興奮を生む、人間の感情の渦に圧倒された。今作でもその渦は見事に描かれつつ、浄瑠璃に魅了された者同士の縁が絡まり合ってゆく様が活写されている。「この世のからくりておもろいな」「この世のからくりの糸、いうのんは、縁の糸でできてんのかもしれへんな」という台詞が印象深い。人の世の怖さと面白さを存分に感じさせてくれる作品で、くらくらと酔いしれた。2025/08/21
ごへいもち
11
渦を先に読むべきだったかと思ったけれど渦は積読にしていた。もう一度トライしてみよーかなぁ2025/05/12
陽ちゃん
7
しばらく文楽観てないなぁと思いながら読了。前作を読んでから間があいたので、正直、あまり覚えてなかったのですが、文体というか、独特の文章のリズムは懐かしい気が。近松半二亡き後、彼縁の人たちの生き様が其々で、浄瑠璃の世界から離れたにしてもなぜか繋がっているようで、魅力に取り憑かれたら離れられないのでしょうね。今までは、作者を気にしたことがなかったのですが、気にしてみようかな。2024/09/26