出版社内容情報
●<マカン・マラン>シリーズ著者による感動の家族小説
昭和39年、羽田の町工場で働く良彦のもとに
亡き父の日記が届く。
戦時中に「非国民」と周囲から罵られ、
終戦後も自室にこもり続けた父を、
良彦はかつて軽蔑していた。
しかし、日記を紐解くと、
そこには父が口にすることがなかった想いと壮絶な人生、
そして良彦の家族三代をめぐる数奇な運命が記されていて――。
解説・中島京子
内容説明
昭和39年、羽田の町工場で働く良彦のもとに亡き父の日記が届く。戦時中に「非国民」と周囲から罵られ、終戦後も自室にこもり続けた父を、良彦はかつて軽蔑していた。しかし、日記を紐解くと、そこには父が口にすることがなかった想いと壮絶な人生、そして良彦の家族三代をめぐる数奇な運命が記されていて―。
著者等紹介
古内一絵[フルウチカズエ]
1966年、東京都生まれ。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年デビュー。17年、『フラダン』が青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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rico
81
どんな時代でも、人は自分の目線で見える世界に精一杯向き合っていくしかない。昭和10年生まれの良彦。その母。祖母。非国民と呼ばれ心を病んだ父。戦前から戦後のある家族の物語は、そんなあたりまえのことを思いださせてくれる。普通かもしれないけど特別。あの時代を自分らしく生きぬいた先には、良彦や父が愛した星空のように、かわらずそこで静かに輝くものがあるはず。両親や祖父母の顔が浮かぶ。断片的にしか知らない彼らの人生や想いを、ほぼ同世代の登場人物たちと重ね、想像してみる。80年目の夏。この作品に出会えてよかった。2025/08/20
布遊
44
良い本だった。終戦前から昭和39年までの東北地方の物語。多喜子・寿子・喜勢子それぞれの女性が、それぞれの決心の元生きていく。良彦は、祖母多喜子が母寿子を叱責しているのを見て育つ。精神を病んでいる父良一を不甲斐ない親と思っていたが、多喜子・良一亡き後、その思いに変化が現れる。誰も、家族であっても計り知れない思いを持っている。戦時中から戦後にかけての、人々の変わり身の早さ。それができない人が、良一のように精神を病んでしまうのかもしれない。2026/01/04
エドワード
38
宮城県古川の旧家を舞台に語られる太平洋戦争と戦後。東京で英語の教師をしていた良一は、太平洋戦争が始まり、「日本はこの戦争に勝てない」と発言し、非国民と呼ばれ罷免される。当時同じ考えを持つ知識人は多かったろう。でも口に出して言えなかった。これは古内一絵さんの家族をモデルにしたフィクションだが、非常に説得力がある。関東大震災での出来事、雪国での色々な風俗習慣、貴重な記憶だ。戦後80年というが、戦争の80年前は幕末維新。当時の記憶が生きている時代の人々の思想と行動が、案外、今と思考回路が相似形で興味深い。2026/03/30
のんちゃん
29
昭和39年、東京で働く良彦は亡き父からの日記を手にした。父は戦時中、日本の敗北を予期した為、非国民と罵られ神経症を患い引きこもり続けていた。その日記に書かれていた父の想いと人生とは、そして話は良彦の先祖、祖母の生き様にも及ぶ。激しい戦闘描写や戦中戦後の苦しい生活模様等もあまり書かれていない、が、本作は静かな反戦小説でもあると思う。本作の中では良彦の祖母多嘉子の生き様があっぱれで魅力的だった。家族や他者への態度は褒められたものではなかったが、一つ芯の通った所がこの家族を支えてきた全てだったと思う。続く↓2026/01/16
ベローチェのひととき
25
妻から廻ってきた本。四話からなる連作短編集。一話、二話は主人公である良彦の語り、三話は母寿子、四話は父良一の語りとなっている。太平洋戦争の最中である昭和18年から、東京オリンピックが行われた昭和39年までの出来事が描かれている。敗戦により価値観ががらっと変わった中で、対応できた者、対応できなかった者、色々な人がいたと思う。大変だったろうなあ。2026/03/30




