内容説明
能力重視の合理主義者にして詩人の魂を持っていた魏の創始者・曹操。情に厚かった彼のもとには才覚と徳を兼ね備えた傑物が集まった。諌言も辞さず魏の興隆を支えた名臣・程〓(ていいく)から、台頭してきた司馬氏に重用され蜀を滅ぼした名将・〓艾(とうがい)まで、三国時代の中心、魏を彩る七人の壮烈な生涯を掬い上げた連作短編集。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
昭和20(1945)年、蒲郡市に生まれる。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事、創作をはじめる。その後帰郷、ながい空白ののち「王家の風日」を完成。平成3年、「天空の舟」で新田次郎文学賞、「夏姫春秋」で直木賞、「重耳」で平成6年芸術選奨文部大臣賞、「子産」で平成13年の吉川英治文学賞を受賞。平成16年に菊池寛賞を受賞、平成18年に紫綬褒章を受章。平成28年に「劉邦」で毎日芸術賞を受賞。同年、旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tomoichi
26
久しぶりの宮城谷さんの作品。全員ではないが天寿を全うしている人だちを主人公にした短編集なので読後感が悪くない。2024/06/29
あまみ
15
三国志本編(吉川英治)を読んだのはもう数十年前なので、個々の人物はあまり覚えていなかった。本書では題に著した人物が係る他の武将たちも出てくるので、思い出しながら読んだ。吉川英治版は「蜀」がメインだったので、「蜀篇」が楽しみだ。時間があれば宮城谷さんの三国志も読んでみたいと思った。2025/02/12
Chikara Tonaki
11
「三国志名臣列伝」後漢篇に続く「魏篇」。前半の程昱、張遼、鍾繇辺りはワクワクと、後半の蔣済、鄧艾は物哀しく読ませて頂きました。次は蜀かな?楽しみに待ちます。2024/07/24
サチオ
9
三国志の中心というべき魏を築いた曹氏の隆盛と衰退を脇に見ながら、それを支えた人物の掘り下げると演義との違いが色濃く出て大変興味深かった。 特に曹真や鍾繇は他の章では彼等の息子達の顛末もあり、自家の繁栄は二代目が如何に重要かを感じます。 蜀篇、呉篇も楽しみです!2024/07/30
coldsurgeon
8
古代中国三国時代の中心にいた魏、その創始者ともいうべき曹操を支え、その魏を作り続けた名臣たちを描く。その姿は多彩であり華やかである。行政の巧拙は、知識力や事務能力ではかれるものではない。その基礎には正しい倫理があり、その上に官民を納得させる平衡感覚がある。それぞれの部署でのリーダーの本当の偉さとは、下の者の能力を見つけて挽き出す力が基底となっている。多くの名臣が活躍した時代を見つめることにより、望ましいリーダーを理解する。2024/06/25