出版社内容情報
おれには、はなから母親がいない、そう考えるのだ――。
売り出し中の料理屋<元喜世>に突然現れた「平蔵の母」きえ。その真偽は、平蔵の真意は。
池波正太郎没後なお多くの支持を集める『鬼平犯科帳』。父で挿絵家・中一弥氏が「オール読物」で挿絵を描いていた縁と、長年の愛読者だった著者が、「鬼平」へのオマージュをこめて、切れ味鋭く長谷川平蔵を蘇らせたシリーズ最新の第4作。収録作品は表題作の他、「せせりの辨介」「旧恩」「陰徳」「深川油堀」「かわほりお仙」の全6作。
内容説明
料理屋“元喜世”に突然「平蔵の母」を名乗る老婆が現れ、奥座敷で倒れる。寝たきりとなった老婆が平蔵との面会を強く求めるさなか“元喜世”に押し込みの危険が迫る。老婆は平蔵が幼い頃に生き別れた実母か、押し込みに絡む偽者か。火付盗賊改・長谷川平蔵と同心たちの切れ味鋭い活躍を描くシリーズ第4弾。
著者等紹介
逢坂剛[オウサカゴウ]
1943年、東京都生まれ。中央大学法学部卒業後、博報堂に入社。80年、『暗殺者グラナダに死す』で第19回オール讀物推理小説新人賞を受賞。87年、『カディスの赤い星』で第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。97年より執筆に専念。2013年、第17回日本ミステリー文学大賞を受賞。15年、『平蔵狩り』で第49回吉川英治文学賞を受賞。20年、第61回毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マーブル
10
非情さが垣間見られる「陰徳」という作品。池波平蔵の印象は清濁併せ呑む度量の広さがあるが、逢阪版の場合は内部の者達にも向ける厳格な視線を感じる。表には現れぬ事情を汲んで温情ある処分をするのか、犯罪者はもちろんそれを裁く側により厳しさを求めるのか。「非情」と「情」の狭間で揺れ動きながら、命令と私情の間で悩みながら展開するからこそ面白い。池波平蔵のシリーズ登場人物たちがそれぞれの個性を滲ませるのに比べて不利なのは否めないが、次第に同心たちや手先たちの個性も立体化し始め、この後のシリーズ継続も期待したくなる。 2025/07/29
アンベラー
7
やはりテレビシリーズの吉右衛門のイメージ 読みやすかった逢坂剛さんの作品というの忘れそうだった もっと読みたいですね2025/04/03
吉田正
2
息の長いシリーズになってほしいなあ。2024/04/17