内容説明
安保運動が盛んだった1960年代以降、若者たちを中心に絶大な支持を受けた倉橋由美子。清楚で品のよい佇まいと、ときに過激でグロテスクな作品のギャップが注目された。その刺激的な文章の中には独特な皮肉とユーモアが光る。今なお新鮮で、鋭利な作品群の中から小池真理子が編む、毒の効いた美しい随筆集。
目次
第1部 倉橋由美子の小説作法(性と文学;純小説と通俗小説;インセストについて ほか)
第2部 倉橋由美子の小説批評(『倦怠』について;「綱渡り」と仮面について;青春の始まりと終り―カミュ『異邦人』とカフカ『審判』 ほか)
第3部 倉橋由美子の性と死(田舎暮し;ある破壊的な夢想―性と私;女と鑑賞 ほか)
著者等紹介
倉橋由美子[クラハシユミコ]
1935(昭和10)年、高知県生まれ。作家。大学在学中の60年、『パルタイ』でデビュー。翻訳の名手としても知られる。2005年6月10日逝去
小池真理子[コイケマリコ]
1952(昭和27)年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年、「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)受賞。96年『恋』で第114回直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真琴
8
倉橋由美子は『完本 酔郷譚』を読み惚れてしまった作家ですが、他作を読めていませんでした。本書での文学や恋愛、性に対しての皮肉を込めた鋭い批判が印象的。美しく鋭利でユーモアある文章を堪能しました。(『スミヤキストQの冒険』復刊してくれないかな〜)2024/03/18
どら猫さとっち
4
硬質で緻密な筆致と、グロテスクなまでの美しさで、読者を魅了した倉橋由美子。しかし、彼女はエッセイを多く書いていなかった。それでもその数々は、文学や男女間の哲学が光っている。そんな倉橋由美子に心酔した作家が厳選した随筆選。常識を疑いつつモラルを保ち、厳しくも人間味に溢れている。個人的には馴染みが薄い作家だが、彼女の真理には一理あるものを感じさせる。2024/06/24
Ryoko
2
本の紹介文と表紙カバーの美しさ、小池真理子の選、にぐっときて購入。倉橋さんの作品を読んだことはないし全く知らない作家だったが小池さんの紹介文を読んだら俄然興味が出た。小池さんをそこまで魅了した倉橋さんの作品って、どんなん?そして読みはじめたが文章がまわりくどく難しい。理解ができないから全く興味も持てず読むのを止めた。倉橋さんの小説を読んだことがありファンだったら違う感想をもったのだろうが。31の随筆が収録されているが一番面白かったのは小池真理子の紹介文だった。2024/03/20
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安保運動が盛んだった1960年代以降、若者たちを中心に絶大な支持を受けた倉橋由美子。清楚で品のよい佇まいと、ときに過激でグロテスクな作品のギャップが注目された。その刺激的な文章の中には独特な皮肉とユーモアが光る。今なお新鮮で、鋭利な作品群の中から小池真理子が編む、毒の効いた美しい随筆集。2024/07/17