内容説明
時は玄宗皇帝下の唐、陽物を欠いた名家の貴公子・崔子龍は、辺境民族の征伐に赴く唐軍に従軍し、宦官・辺令誠の策略にはまる。心酔する上官・高仙芝を陥れた辺への復讐を誓う崔の前に現れた僧侶・真智。権力闘争に翻弄される男達と、虐げられても強かに生きる女達が安史の乱を機に躍動する歴史大河小説。
著者等紹介
千葉ともこ[チバトモコ]
1979年、茨城県生まれ。筑波大学日本語・日本文化学類卒業。2020年、『震雷の人』で第27回松本清張賞を受賞してデビュー。2022年『戴天』で第11回日本歴史時代作家協会賞新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
34
皇帝は政治を疎かにし、宮廷では佞臣が暗躍する唐・玄宗皇帝の時代。そんな中でも天に臆せず、どこまでも義に生きることを貫こうとする者たちの物語。身体を欠損して失意のうちに従軍し権勢を振るう宦官・辺令誠の非道に憤った崔子龍。天童と謳われ義父の遺志を継ぎ皇帝を糺そうとする真智。幼馴染3人の何とも複雑な関係を絡めながら描かれる展開は、当時の英雄ですら屈服させる佞臣の昏い影響力の凄まじさに戦慄させられましたけど、安禄山挙兵の混乱が続く中で、今自分の成すべきことは何かを問い続ける彼らの苦悩と生き様が印象的な物語でした。2024/03/06
さとうしん
9
『震雷の人』と同じく安史の乱の時期の唐を舞台とし、話の中心となるのが男女3人という構図は同じだが、その男女3人が入れ替わり、舞台となる主要な地域も異なるという趣向。今回中心となるテーマは宦官と胡人。ラスボス的な存在である辺令誠も宦官であるが、単純に切って捨てられる悪役というわけでもない。「人は変わる」あるいは「人の評価は変わる」という所に注目して読むと面白い作品。2024/03/12
うさぎや
6
「安史の乱」シリーズ第2弾。前作は地方からの視点だったが、今回は中央寄りの視点から。そして前作に引き続きヒロインが強い。2024/04/16
びりい・O
2
安禄山の乱というと、楊貴妃ぐらいしか出てこない頭で読んだけど、おもしろかった。 歴史の本には出てこない人たちの物語を史実が盛り上げてくれるので歴史物は好きだ。 スーパーヒーローみたいな人が脇役で主人公はちょっとさえないけど、迷いながらも進むのはやめないやつで周りの人達が一癖あって地味な脇役には泣かされたりしてJUMPのマンガみたいだなと思いながら楽しく読みました。文章もよいのでさくさく読みやすくかつ読了後はしみじみしましたよ。2024/05/03
チィ★
0
読書離れ期間で時間かかったけど、面白かった。たまに電車でウルウルしながら読んでたわ。熱い。 辺令誠は実在の人物なのか。何かに出てたかな〜?最後の最後であ〜悪人でもなかったのね。というの結構好き。 これ読んでたからまた「空海」が観たくなってたんだな。あと 「麗王別姫 」😁2024/08/25