内容説明
新小岩駅にも再開発の波が訪れ、町の姿は日々変わってゆきます。それでも南口商店街の路地裏にある居酒屋・米屋では今夜も女将が変わらぬ笑顔で客を迎え、料理の腕をふるいます。そんな米屋に季節外れのお化け騒動が持ち上がって…。「食と酒」シリーズ100万部突破!ますます人気の著者による居酒屋物語、注目の第4弾。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。会社員を経て派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学び、2時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら、小説の執筆に取り組む。2007年に『邪剣始末』で作家デビューを果たす。13年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
162
心身共にヘロヘロの状態の時に読んでいたので、各章を読み終えるたびにウルウルしてしまった。水戸黄門ばりのワンパターンではありますが、やっぱり読んでで面白いですね。米屋の秋穂さん、常連客の優しさに癒される。もちろん、料理もお手軽メニューではあるけれど、料理にも癒される。癒されるけど、今作にかぎっていえば、作ってみたいと思うほどのものは、個人的にはなかったかな。ラストの章は、こうきたかというパターンに、次作も違うパターンがあるかもと期待してしまいます。米屋も行ってみたいけど、とり松にも行ってみたいな。2023/12/22
タイ子
93
シリーズ第4弾。読んでる途中で居酒屋「米屋」の時間軸が未だこんがらがっている。店内は昭和レトロ漂う雰囲気、店外から訪れる客はスマホ片手の令和の時代の人。だけど、客とおかみの間に違和感がないのが不思議。この店に引かれて入ってくる客は何かしらの悩みや心に不安感を抱いている。そんな人たちに手を差し伸べるべく店が呼んでいるのだろうか。今作はちょっと趣向を凝らしてゆうれい居酒屋に本物のゆうれいがやってくるという面白い話。何が何やらだけどそんなところも魅力の不思議な物語。2024/01/19
Ikutan
67
シリーズ第四弾。迷えるお客さんだけがたどり着く居酒屋『米屋』。今は亡き女将の秋穂と常連さんたちが、さりげない助言で背中を押してくれる。もちろん今回もレンチンで簡単にできる美味しそうなお料理の数々。ただ、今回は第二話で、秋穂さんが処方薬の抗生剤を演歌歌手にあげるところでびっくり。抗生剤は解熱剤ではないし、ウイルス感染である流感には効きません。医師の処方薬を気軽に他人にあげることは、副作用のリスクもあるのでおすすめできません。これは、読者が誤解してしまうのではと気になり、今回は、今一つ入り込めませんでした。2024/02/16
Karl Heintz Schneider
45
相変わらずおいしそうな料理の表記に腹が鳴り、そうかと思えば人情話に思わずホロリと。「一人でいる時間を楽しめないと、毎日が不満で虚しかったりします。それを埋め合わせるために、自分にふさわしくないことに手を出してしまう。一人の時間を楽しめるようになれば、自分にふさわしくない相手を運命の人と思いこむようなこともなくなるでしょう。」不実な男に振り回される女性を女将が一喝。かっこいい!ほれぼれしちゃう。そして今回もおいしそうな料理がたくさん出てきます。一体、山口さんはどれだけのレシピを頭の中に持っているのでしょう。2024/02/15
horihori【レビューがたまって追っつかない】
37
シリーズ4作目。人情あふれる常連さんの会話も楽しめて、人生の危うい岐路を正してくれる米屋。最終話は、今までと違って、米屋に幽霊が出てくる内容に、今後の展開が気になるな。作中に出てくる菜の花の明太マヨ和えを作ってみたら、菜の花の苦みが苦手な子どもたちにも大好評でした。米屋の舞台は昭和後半だと思うんだけど、そもそも電子レンジって、平成になるまでそんなメジャーじゃなかった印象。秋穂さんのレンチン料理の多さにそんなことが気になった。2024/02/09