出版社内容情報
PMS(月経前症候群)で感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけれど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになりーー。
人生は苦しいけれど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。
内容説明
PMSで感情を抑えられない美紗。パニック障害になり生きがいも気力も失った山添。友達でも恋人でもないけれど、同志のような気持ちが芽生えた二人は、自分にできることは少なくとも、相手のことは助けられるかもしれないと思うようになり―。人生は苦しいけれど、救いだってある。生きるのが少し楽になる、心に優しい物語。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、09年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kazuko Ohta
158
タイムリーすぎて笑ってしまいました。というのも、半分ほど読んだ後たまたま『ボヘミアン・ラプソディ』のScreenX版を観に行ったのです。私が劇場で観るのは31回目の『ボラプ』。で、帰宅して続きを読んでいたら、なんとなんと、観に行ってるよ美紗ちゃんが。こんな偶然がありましょうか。余計なお世話かもしれないけれど、『ボラプ』未見の方は観てから読んでと言いたくなる。そしてやっぱり優しく温かい瀬尾さん。手段はひとつじゃないと少し考えればわかりそうなものなのに、焦るとわからなくなるものだなぁ。明日の自分に聞かせたい。2024/02/09
エドワード
146
従業員6名の栗田金属に勤める若手社員、藤沢美紗はPMS(月経前症候群)で月に一度感情が暴走する。山添はパニック障害で突然苦しみ出す。ある日美紗は山添の飲む炭酸飲料の音に心が爆発する。二人が何故心の病を患ったのか、辛い心理描写の後に、二人の毒舌合戦が始まる。陰鬱だけどどこか明るくぬけている、何とも不思議な小説だ。家から出られない山添のために、散髪道具を持って押しかける美紗、虫垂炎になった美紗の病院へあの手この手で到達する山添。二人を見守る温かい社員たち。うっとうしいヤツが恋人になるって、恋愛小説の王道だよ。2023/10/08
キ♡リン☆か
145
まず最初にPMS(月経前症候群)を持った女性とパニック障害を持った男性の話なのですが、この二つの病気というものを私は全く知らなかったので、これほどまでに苦しむのか?とびっくりしました。そして、この病気を理解しつつ、前進していく二人、そしてそれを優しく周りから支えてくれる人たち。本当にいい話だと思いました。この小説は自分が知らない世界を教えてくれました。感受性も揺さぶってくれますし、改めて人間関係の大事さを教えてくれました。大変すばらしい本でした。2024/07/02
おしゃべりメガネ
131
映像化によりハードカバーで読んで以来、3年ぶりの再読です。実写化に関してとやかく言うアレはありませんが、個人的には主人公「藤沢」さんは上白石さんではちょっとイメージが違ってたかなと。それでもパニック障害で悩み苦しむ同僚「山添」君との不思議なやりとりには、読んでいてココロがほっこりします。PMSとパニック障害をダブルで綴り、こんなステキな作品に仕上げてしまうのですから、やっぱり瀬尾さんはスゴすぎますね。一緒に働く職場の皆さんの温かい理解があってこその話なのかなと。人と人との距離感って、本当に大切ですよね。2024/02/25
ゴルフ72
113
外見からではわからない山添君、藤沢さん、それぞれが抱えるパニック症候群とPMS、男女間をこえて友情にも等しい互いを見守るまなざしがこの物語の肝かもしれない。美沙さんが虫垂炎になった時の山添君の行動がほほえましい。あったかくなってきた。2023/12/11