出版社内容情報
新小岩の路地裏にある居酒屋・米屋。
ここには、甘酸っぱい初恋やピリ辛の下積み時代、ほろ苦い嘘や挫折など、人生の喜怒哀楽にそっと寄り添い、あなたの背中を押してくれる美味しい料理とお酒があります。だけど、このお店には大きな秘密があって……。
売れっ子のDJや女将さんの亡夫の釣り仲間、写真館の主人などなど、きょうも米屋にはいろいろなお客さんが訪れます。
父と娘、母と息子、すれ違う想いや許されぬ恋、そして忘れられぬひと……素敵な出会いと切ない秘密、読めば必ず元気になれる、ちょっと不思議で温かい居酒屋物語、待望の第3弾。
内容説明
変わりゆく町、新小岩駅南口の商店街の路地裏に佇む居酒屋・米屋。魚拓だらけの店で今夜も女将が腕をふるいます。父と娘、母と息子、すれ違う想いや許されぬ恋、そして忘れられぬひと…。出会いと別れをくり返しながら、みんな生きてゆく。「食と酒」小説で大人気の著者が贈る、あなたにそっと寄り添う居酒屋物語、第3弾。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。会社員を経て派遣社員として働きながら松竹シナリオ研究所で学び、2時間ドラマのプロットを多数作成。その後、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に勤務するかたわら、小説の執筆に取り組む。2007年に『邪剣始末』で作家デビューを果たす。13年、『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
198
シリーズ第3弾。もう、ホントにおうちでできそうな簡単レシピには目を見張りますね。しかも酒に合いそうなのが尚いいですね。水戸黄門ばりのワンパターンに、ちょっとアクセントがついた今作。確かにいい客ばかりが来るわけないよね。秋穂さんだって、イヤな客はいるよね。そんな感じの悪い客は、やっぱり天罰が当たるわけで、背伸びのしない身の丈に合った生活をしないといけないですね。一見さんが、再度行くにあたって、米屋を探しにくるたびに、必ず聞きに訪ねていく“とり松”。とり松も気になり、行ってみたいですね2023/06/18
タイ子
97
シリーズ第3弾。不思議な居酒屋に今日も悩み多き人たちが敷居をまたぐ。秋穂の居る空間と居酒屋に来る客の間の時代の差が30年ぐらいあるのに、会話をしていると時間差を感じなくなるのが不思議。時に耳慣れない言葉やグッズが出てきてクスッてなると同時に、読んでいる自分は今どこにいるんだろう?って不思議な気分にさせてくれる。「めぐりあう秋刀魚」がいい。これぞ「ゆうれい居酒屋」の真骨頂なる物語かも。出て来る料理のレパートリーが増えてくるのも嬉しい。卵黄の醤油漬けは作ったことあるけど、ホントに美味しい。2023/07/12
ゆみねこ
75
秋穂さんがうたた寝から目覚め、居酒屋「米屋」の営業を始めるとご近所の常連さんがやってきて。そこへ一見の客、何かワケアリのお客たちは「米屋」の美味しい料理と秋穂や常連さんたちの言葉に生きるヒントをもらう。後日お礼に訪れて「米屋」の真実を知ってビックリというワンパターンなのにとてもホッコリと読みやすい。巻末のレシピはいつもありがたく参考にさせてもらっている。2024/03/09
はにこ
71
やっぱりこの本の世界観が好き。まぁ、地元の話だからだと思うけど。過去からの伝言があったのも素敵。病のせいで恋人の元を去った男。切ない話だったなぁ。死んでもなお、旦那さんに会えない秋穂が少し可哀相。常連さん達には会えたのに。何か理由があるのかな。和竿や写真館。古き良きものが失われていくのは寂しいね。2024/03/03
Ikutan
71
居酒屋『米屋』の営業は、女将の秋穂さんがうたた寝から目覚めるところから始まる。常連は悉皆屋や釣具屋の主人。美容院『リズ』のマダム。今日もこのお店に、30年の時を遡り、悩みを抱えた人が迷い混む。レンチンで手軽に作れる美味しいお料理と元教師の秋穂さんの的確なアドバイス。すれ違った家族の思いに気付いたり、背中を押されて一歩を踏み出したり。ちょっと不思議な設定も、お決まりの展開なので安心して読めます。巻末にはお手軽料理のレシピ。美味しそうなお料理と心温まる物語。サクッと読めるので、ちょっと疲れた時におすすめです。2023/07/25