出版社内容情報
新進気鋭の女流絵師・歌川芳花ことおいちの元に、「江戸名所百景」の大仕事が持ち込まれる。彼女は想いを寄せる彫師と生写しに出かけたいが、その男には女房と子供がいた。悩んだ末においちがとった行動は--(表題作「恋忘れ草」)。
江戸の町で恋と仕事に生きた6人の女たちの哀歓をあたたかく描き、第109回直木賞を受賞した連作短篇集。
内容説明
新進気鋭の女流絵師・歌川芳花ことおいちの元に、「江戸名所百景」の大仕事が持ち込まれる。彼女は想いを寄せる彫師・才次郎と生写しに出かけたいが、その男には女房と子供がいた。悩んだ末においちがとった行動は―。表題作ほか、江戸の町で恋と仕事に生きた六人の女たちの哀歓をあたたかく描き、第109回直木賞を受賞した連作短篇集。
著者等紹介
北原亞以子[キタハラアイコ]
東京都出身。コピーライターを経て、昭和44年「ママは知らなかったのよ」で第1回新潮新人賞を受賞し作家としてデビュー。平成元年『深川澪通り木戸番小屋』で第17回泉鏡花文学賞、5年『恋忘れ草』で第109回直木賞、9年『江戸風狂伝』で第36回女流文学賞、17年『夜の明けるまで』で第39回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。25年3月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のびすけ
23
独り身で働く女性たちの6編の物語。男社会の中で、仕事の困難や厄介ごとに苦しんだり、うまくいかない男関係に悩みながらも、前を向いて懸命に生きていく姿が描かれる。気持ちよくハッピーエンドで終わらないところが、むしろリアリティがあっていい。「恋知らず」のお紺、「恋忘れ草」のおいちの、ラストで自分を励ますような力強い言葉が印象的。少しずつ繋がりのある連作になっている所も味わい深い。2023/07/31
ポメ子
6
手に職を持った女性たちとその切ない恋物語。派手な話ではないが、じわじわと余韻が残る。2023/05/09
cloud9
2
本屋さんで表紙に見惚れた1冊。中も良かった。2023/06/16
みちちゃん
1
短編集。ヒロインが別の物語でまた登場するというおもしろさがある。女性であるがゆえに一人では生きていくのにくじけそうになることは、現代でもあると思う。人を恋しいと思う気持ちはいつの時代でも同じだと思う。仕事か恋かと選ぶのは難しい。女性はいっそう難しい。出産するしないの別なくそういう性だからだと思うのは私のひいきめだろうか。どの物語もたくましく生きていこうとする女性の気概が強く感じられた。2024/02/11
好奇心
1
女性を主人公にした短編6編、女性が職業を持ち独り身で生きる、女と男がかかわりあえば、必ず恋あるいは諍いが必然する、好きな男の胸に飛び込みたい気持ちを持ちながら、もう一つのしがらみにとりつかれ躊躇する、中途半端な気持ち 読んでいてもやるせないし、女も男も片思い、じれったくなるほどに、切ない思いを匂わせる物語でした、お梶・新七2023/03/25