内容説明
人口を制する者が、世界を制してきた―。ロンドン大学の気鋭の学者が“人口の大変革期”に当たる直近二〇〇年を読み解く。「人口」に対して、「技術革新」「地政学」「戦争」「宗教」「移民」「医療」「女子教育」などの様々なファクターを掛け合わせ、アカデミックな裏付けのもと、一般読者向けに書きおろした決定版。
目次
第1章 人口が歴史をつくってきた
第2章 人口とは軍事力であり経済力である
第3章 英国帝国主義は人口が武器となった
第4章 猛追するドイツとロシア
第5章 ヒトラーの優生学
第6章 ベビーブーマーの誕生とアメリカの世紀
第7章 ロシアと東側諸国 冷戦の人口統計学
第8章 日本・中国・東アジア 老いゆく巨人たち
第9章 若く好戦的な中東と北アフリカ
第10章 未来の主役か サハラ以南のアフリカ
著者等紹介
モーランド,ポール[モーランド,ポール] [Morland,Paul]
ロンドン大学に所属する気鋭の人口学者。オックスフォード大学で、哲学・政治・経済の学士号、国際関係論の修士号を取得。ロンドン大学で博士号を取得。ドイツ・英国の市民権を有しフランス語も堪能という、マルチカルチュラルなバックグラウンドを持つ
渡会圭子[ワタライケイコ]
翻訳家。1963年生まれ。上智大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うえぽん
51
ロンドン大の人口学者が19世紀以降の人口変動から世界史を語った本。農作物で養える以上の人口は保てない「マルサスの罠」を、農業生産増、輸送機関の発達、公衆衛生の向上により抜け出す国がブリテンから始まり、欧州、米国、豪州、ロシア、アジア、中東、アフリカに拡がる様子を描く。2度の大戦や冷戦の経緯の説明要因に、人口規模や人口増加率の差とそれによる対抗心を利用。民族や宗教の違いによる出生率の差や移民が民族等の構成の変化と新政治勢力を生む様子や、今後の高齢化や白人減少による影響など、読者に新たな視点をもたらす好著。2025/05/20
月をみるもの
18
中国は一人っ子政策なんてやる必要はなかった。女性が教育を受けられるようになり、生活がある程度豊かになりさえすれば出生率は自然に下がる。インドもある程度先が見えてきてるので、最後のフロンティアはサハラ以南のアフリカとなる。ここでの増加をしのぎきり、ピーク人口を百億以下におさめた後、安定的に人口減少・高齢化進行させていくことができるのか。はたまた「増えすぎた人口を宇宙に移民」させないといけなくなってしまうのか。2025/10/21
青雲空
4
「マルサスの罠」を最初に乗り越えた連合王国が人口転換を迎え、国力を充実させ、それがやがてヨーロッパ、日本を経て、中国、そしてインドに及んでいるという過程が人類通史として勉強になる。 共に急速に老いる日本と中国、戦争している場合ではないと思うのだが。2025/12/14
鴨長石
4
人口構成については、出生率と死亡率を見ればかなり長期の予測が可能となる。歴史上の多くの出来事は当時の人口動態でかなりの程度まで説明できるとのことだ。今日本であらゆる分野の中で最も深刻な問題が少子高齢化だと思う。コロナ禍はそれを是正するチャンスだったのにも関わらずむしろ加速させる方向の政策がとられた。「異次元の少子化対策」などと劇的な言葉を使うだけでごまかすのではなく、「子供を産まないと損する」ぐらいの根本的な政策を打たないと手遅れになるだろう。2023/06/09
かっさん
3
人口で語る世界史 #読了 人口の増減とその内容に注目しながら、世界史の流れを追う イギリスから始まった人口増の波が、二度の大戦や、冷戦を経て現在までの世界中にどう影響してきたか、が主軸 人口の基本的な変動が実は時期は違えどどこの国でも同じような構造で動くのは勉強になった2024/06/19




