出版社内容情報
衆議院議員の宇田清治郎の孫娘が誘拐された。犯人の要求は「記者会見で罪を自白しろ」。犯人の動機とは一体? 誘拐サスペンス。
内容説明
衆議院議員・宇田清治郎の孫娘が誘拐された。犯人からは「記者会見で、すべて罪を自白しろ」という前代未聞の要求が届く。清治郎の次男で秘書を務める晄司は、父と幼い姪を救うために奔走する。総理官邸と警察組織との入り乱れる思惑、命のタイムリミットが迫るなか、宇田家の運命を背負った晄司の決断は?
著者等紹介
真保裕一[シンポユウイチ]
1961年東京都生まれ。アニメーション制作に携わった後、91年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。96年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、97年『奪取』で第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
82
5・6年前に『ホワイトアウト』で昂奮して、つづけざまに何冊か貪り読んだ。先日、コロナ禍の店頭で目にした、真保さん新刊を急遽読んでみたくなった。当時の作品よりカドが取れて丸くなった感はあるが、迫力ある面白さは変わらず凄い。「大物政治家の3歳の孫娘が誘拐される」という誘拐モノ。本音と建て前を巧妙に使い分ける、政治家の表と裏の顔が鮮明に描き出されている。メディアと有権者は、選挙時の風向きでコロッと態度を変えるのは真実だし、政治家にとっては怖いところであろう。またまた真保小説の面白さに落ち入りそうだ。2022/06/08
Willie the Wildcat
64
政治家、肉親、あるいは司法など、様々な角度で問う「義」。指揮権発動の是非を含め、ギリギリまでの駆け引きが複数交錯。〆で見せた”後継者”の政治家への覚醒がシニカル。時限の中のスピード感は、読み応えもある。一方、麻由美が意識不明となる偶然性に、運を懸けた犯人たち?!そんな短絡的な犯人たちが、一方では踏み台などの技術を駆使?!挙句アナログな掘り起こし?!加えて、河川敷”閃き”など、伏線回収が少々粗い印象。犯人の動機も、誘拐(政治)から独立しているのがどうにもいただけない。2024/10/14
どぶねずみ
60
真保さん、ご無沙汰していました。読もうと思ったきっかけは映画化だが、本作は誘拐小説の頂点かもしれない。海外を経由する通信手段では犯人が割り出せず、身代金目当てでもなく、犯人の目的がなかなか見えてこず、ずっとモヤモヤしていたところへ急展開。多くの人が関わり、限りない時間のなかで関係者を仕訳していくのも頭の回転が早くないとできない。政治の絡み合った関係、警察の縦割りの圧力。これらを崩すのは至難の技だが、自然の流れで解かれていく過程がすっきり清々しい。2024/01/07
カブ
46
久しぶりの真保裕一作品。代議士の孫が誘拐され、犯人の要求は「記者会見で、すべて罪を告白しろ」というもの。犯人の目的は?人質の命は?身代金受け取りの場面はないけど、ハラハラ、ドキドキする展開で面白かった。2022/08/12
一笑
37
国家議員の孫が誘拐された。その要求はお金ではなく今まで政治家として犯してきた罪を自白することだった。ありそうであまりなかった発想のお話ではなかろうか。この窮地に立ち向かっていく国会議員の次男晄司が主人公かな。政治のリアルさがいろいろと書かれた後、残り3分の1あたりから、話が急展開していく。最後、犯人は意外だったけれど、全体としては今ひとつ盛り上がりに欠ける・・・? 国会議員は日本全体のこと考えるべきなのにどうしても地域優先になってしまう。それでも自分の事ばかり考えている国会議員よりはよしとするべきなのか?2024/09/17