出版社内容情報
江戸参府のオランダ使節定宿「長崎屋」の美しい姉妹が巻き込まれる一大疑獄「シーボルト事件」を、青春群像劇として描いた傑作長編。
内容説明
江戸に参府するカピタンの宿・長崎屋に生まれた、るんと美鶴。世界の風に触れて育った彼女達はやがて恋を知る。時は文政、蘭学に憑かれた人々の熱情が一大疑獄「シーボルト事件」に発展。愛する男らを姉妹は救えるのか?間宮林蔵など近代史の立役者も続々登場、極上の歴史ミステリにして清冽な青春小説。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し作家デビュー。2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞を受賞。2017年12月23日、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
28
葉室さんの著書は読みやすいためすぐに読めます。歴史上の事件に直接関係しない立場から見ていますので、違う視点があり面白いです。しかし他の著書でもありましたように片っ端から著名人を登場させますので焦点がぼやけているようにも感じました。2022/08/25
エドワード
24
江戸は火事の多い街だった。「哀しい女の念が火事を起こす」という尼の言葉が出て来る。江戸参府のオランダ使節の宿所・長崎屋の姉妹、るんと美鶴の周囲で起きる出来事―シーボルト事件をドラマチックに描く。日本の動植物や地理に多大な関心を寄せたシーボルトは、単なる蘭方医だったのか?鎖国の綻び、西洋の知識を求める若者たちの情熱は時代の勢いだ。オランダ宿は日本と世界をつなぐ窓。「人と人をつなぐ心はいいことだが、そうさせたくない人たちがいる。」学問と国防の板挟み。間宮林蔵、遠山金四郎は敵か味方か?歴史の裏を楽しめる力作。 2022/03/27
フジッコ
6
最初の方は中々読み進められずにいたのですが、少しずつ面白くなって来て一気にページが進みました。葉室麟さんの作品を読むのは初めてなのですが、アヘンやら抜け荷やらきな臭い話と、るんと美鶴の淡い恋心の部分とが混在していて、何とも言えない奥深さを醸し出しているなぁと感じます。他の作品も是非読んでみたいと思います。2023/09/09
coldsurgeon
6
世の中の立場上、弱い者が虐げらるのはよくないことであるという作者の想いがあるのだろうか、憤りを想いながら、読み進めた。シーボルト事件を題材にした物語であるが、二人の姉妹の懸命な生き方に、心惹かれる。悪意を隠さず確信犯として蠢く悪党があれいば、一方で、良かれと思い功名心だけで動いたために、周囲に禍をもたらす人も、いるものだと。2022/04/23
k-katayama
4
時代小説として、ただただ 楽しみながら読みました。時代背景や史実などは、お話の単なる背景として読み過ごせばいいかなと思いながら・・・・・。楽しく読めました。2022/09/04