出版社内容情報
天候を予測するには? 鉄砲をどう運用するのか? 信長の戦の裏には合理的思考があった。天下統一までの謎を解き明かす白眉の一冊。
内容説明
鉄砲をどう運用すべきか。天候を予測することはできるのか…。織田信長による戦の勝利の裏側には恐ろしいまでの合理的思考があった。戦国の世、最も先を見据えていた男が最後に導き出したものは、自らの死後、明智を破る秘策だった―。独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る、傑作短編歴史小説集。
著者等紹介
木下昌輝[キノシタマサキ]
1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞。14年『宇喜多の捨て嫁』を刊行。同作は15年に第152回直木賞候補作となり、第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞、第9回舟橋聖一文学賞、第2回高校生直木賞、第33回咲くやこの花賞を受賞した。19年『天下一の軽口男』で第7回大阪ほんま本大賞、『絵金、闇を塗る』で第7回野村胡堂文学賞、20年『まむし三代記』で第9回日本歴史時代作家協会賞作品賞、第26回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ブルちゃん
33
面白かった!どの話も良かったし、心に残った。炯眼の持ち主である信長の、ひっそりとした、凛とした強さも良いが、名前も知らなかった登場人物たちの関係性も地味に良かった。にしても先の先を見て話を構築する木下さんすごいっ!😆2022/04/13
如水
27
炯眼…物の本質を見抜く鋭い眼力=織田信長。うん、ピッタリ👍短編7篇で語られる信長像の核心に迫る!!と言う御話しでしたが、弓矢→鉄砲への移行を進める為の家臣団への意識改革が主(実用含)。後は迷信、鉄甲船、本能寺の変、と言った所。『雨将軍』と呼ばれた信長。如何に天候を読み切ったか?長篠の戦いの鉄砲運用、鉄甲船の謎等、中々『ほっほ~』と思う内容でした。地球儀を見て即座にこの世は球体で有る事を理解し、日本の国土、場所を見て喜々としたと言われる信長。先見性が有りながら何故本能寺は?…は謎ですが面白かったですよ👏2025/02/06
tomo
14
☆☆☆☆ 4.3 本作での信長は、まさに“炯眼”だ。短編集ではあるが、どれも“そうかも”と思わせる。信長に次ぐ“炯眼”、猿似の秀吉。鉄甲船では、上様もそんなもの出来るわけないととっくに見切っておるわ、と悩める部下たちを尻目にまさかの判断。やはり、この猿は食えない、やるな。2023/06/13
イシカミハサミ
14
いろいろな主人公たちが躍動する、 それでも信長が主役の1冊。 信長の研究が進んだ現代ならではの解釈と、 読み応えの1冊。 信長にまつわるいろいろな謎に対して、 明解痛快な回答を用意しつつ、 小説として十分すぎる読み応えだった。2022/04/30
流石全次郎
10
連作短編集。物語の初めに「序」の章があり、物語にまつわる背景や謎が示され、学校では歴史嫌いだった私でも知っている著名な武将や、有名なのかもしれないけど私は知らなかった登場人物によって章毎に異なるエピソードが描かれる。章がすすむ毎に「信長」の大きな影が揺れ動いた。2022/04/09