出版社内容情報
四日市支局長の藤岡が川で転落死。事故死とされたが、疑いを抱いた同期の松浦たち三人はそれぞれの伝手をたどって事件の真相に迫る。
内容説明
東日新聞四日市支局長の藤岡が工場の夜景を撮影中に水路に転落し溺死した。警察は事故と判断したが、藤岡とともに新人時代を三重県で過ごした同期三人は納得がいかない。編集委員の松浦、初の女性役員になりそうな高本、なぜか出世ルートをはずれた本郷は真相究明に乗り出すが、それぞれに家族の問題でも悩みを抱えていた。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
99
★★★★★★★☆☆☆四日市を舞台とした堂場瞬一の長編。コンビナートの夜景を撮影中に記者・藤岡が水路に転落死する。その死に疑問を抱いた同期・松浦らが人脈を駆使し調査する中で気付いた、この地に潜む疑惑とは…。なぜ友は四日市への赴任を希望し、そして死んだのか。大の大人3人が動くにはやや事故死を疑う根拠が弱いので、同期しか知らない別のエピソードがあってもよかった。四日市の、そして三重の街並みやグルメが詳細に描写されており、かなり入念に取材されているなと感心したが、所々で三重が強烈にディスられているのには苦笑した。2022/04/30
KAZOO
86
堂場さんの警察小説ではなくご自分の経歴を少し振り返ってみようということで書かれたのでしょうか?同じ新聞社の支局に配属された4人の同期が50代になって今後の先行きもわかってしまっているのですが。その一人が事故で死亡しお通夜にほかの3人が出席するところから話が始まりその死に疑問を抱く人物がいます。それぞれの部署や家族問題もありますが、その疑問を最後は明らかにしてくれますがあまりすっきりというわけにはいきません。が、新聞記者魂に少しは触れました。2021/11/18
たいぱぱ
60
事故死した新聞記者の同期たちが、事故死の真相を暴いていくミステリー。本来は物語が重要なのだが、僕の故郷・四日市市が舞台とあってはそれどころではないのだ!おっ!ここは都ホテルだな!ここはこないだ行ったばかりの中央通りのどん突きにある斎奉閣やんか!と主人公たちがいる場所の空気感まで肌に感じれるこのワクワク感がたまらない。後半、伊勢鉄道の鈴鹿駅まで登場しテンションマックス!マイナー中のマイナーな駅なので三重県民でも知られてないよ(笑)。時折、登場人物たちが三重を蔑むように見る目線にイラつくのは郷土愛の賜物かな。2023/12/02
とろこ
54
30年前、新聞社の津支局で同期だった松浦、本郷、歩美、藤岡。彼らには、それぞれ思い描いていた理想の将来があった。しかし、人生は思い通りにならず、20年後には皆が違う場所でそれぞれの葛藤を抱えていた。そんなある日、松浦と本郷、歩美の元へ、藤岡が事故死したとの連絡が。しかし…。同期3人は藤岡の死に違和感と疑問を感じる。友の死の真相を探りながら若き日の情熱を思い出す者、新聞記者としての矜持を取り戻す者…。ラストは賛否が分かれそうだが、一気に読ませる力量は流石だった。2022/03/20
ヒデキ
45
またもや、休日に一気読みした1冊です。 四日市市の風景が、ほんとにほぼその通りに描写されていて この葬儀場は、○○だな?とかこのお店は、××とか?実際の景色が、目に浮かんできて著者の取材の徹底さが判ります。食事もそのお店でしっかりされたのかな?と思ってしまうのは、知っている街を舞台にしているからでしょうね。2022/02/05