出版社内容情報
墓穴で夜を明かそうとした男は人肉を喰らう者を見る。その意外な正体とは。安倍晴明と源博雅が平安の悲喜こもごもに奔走する12篇。
内容説明
少納言・坂上彦麻呂は、夜な夜な怖ろしげな美女から手に噛みつかれる夢を見る。目覚めると実際に赤い傷が―蘆屋道満が活躍する「にぎにぎ少納言」、虫めづる露子姫が登場する「塔」、そして今日も晴明と博雅は京の怪異に奔走する。夫婦の情愛、前世の因縁、虫の音と妙なる琵琶の響き。昭和・平成・令和と愛され続けて16巻目!
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
昭和26(1951)年、神奈川県小田原市生れ。48年、東海大学日本文学科卒業。52年、「奇想天外」誌に「カエルの死」を書いてデビュー。『上弦の月を喰べる獅子』で、平成元年に第10回日本SF大賞を受賞。『神々の山嶺』で、10年に第11回柴田錬三郎賞を受賞。『大江戸釣客伝』で、23年に第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、翌年に第46回吉川英治文学賞を受賞。29年に第65回菊池寛賞を受賞。30年に紫綬褒章を受章。圧倒的な人気を博する「陰陽師」「魔獣狩り」「餓狼伝」の各シリーズをはじめ、山岳、冒険、ミステリー、幻想小説などの分野で広範な読者を魅了し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
91
最新刊文庫版陰陽師ですが2年前の出版されたときに読んでいて再読ですが結構忘れています。晴明と博雅あるいは道満、露姫など常連が結構出てきて楽しい話満載です。相人、月を呑む仏、蝉丸などがいい雰囲気でした。2021/10/16
眠る山猫屋
66
道満さんの単独ストーリーすら描かれる偏愛にニヤリ。獏さんの愛情が伝わるなぁ。露子姫も愛らしい。サラリとした短編ばかりだから、静かな宵闇刻にちょうど良い。この巻では、結びの言葉に静かで深い余韻を残す物語が多かった。そして打ち捨てられた者たちの哀しみに寄り添う博雅と、それを見守る晴明。いつまでも待てる物語、そして何度でも読み返したくなる物語でもある。2021/11/11
アルピニア
57
シリーズ16巻。蘆屋道満、虫愛づる露子姫も登場する12篇。特に良かったのは博雅の本性に迫る「相人」。清明は博雅を好もしいのではなく、敬愛していると感じていたが、その意味が解き明かされた話だった。「月を呑む仏」と「蝉丸」は、情景描写が美しく、心地よく、ずっと浸っていたい話だった2021/12/18
みやび
52
このシリーズも16弾目。久しぶりに手にするも、やはりページを開いた瞬間に、晴明と博雅が座して酒を酌み交わす、季節感溢れる雅な世界に惹き込まれていく。文体は段々と簡素になり、無駄が一切省かれていっているようにも感じられるけれど、それが却ってこの世界の美しさを引き立てているようにも思える。最後に蝉丸と博雅が共に楽器を奏でて語り合う場面で静かに幕を閉じ、情緒溢れる極上の余韻に浸ることが出来るのも魅力だ。博雅が奏でる笛の音のように、ほろほろと物語がこぼれてゆく。2022/05/07
紫綺
52
単行本にて読了。漢字や平仮名の純和風なオノマトペが新鮮。作者が意識したのか、常套シーンが減ったような気がする。手抜きとは思わないから続けて欲しい。「いこう」「いこう」そういうことになった。が好き♪2019/05/31