出版社内容情報
どうしても「読み終えられない本」がある。結末を求めて悶えるメンバーは東奔西走。世紀の謎はついに…。第6回高校生直木賞受賞作。
内容説明
ある日、忽然と消えた一冊の本。佐山尚一なる男が記したその本『熱帯』を求め、森見登美彦は東京へ。そこには既に手掛かりを得て探索に乗り出さんとする一団がおり、彼らもまた「不可視の群島」「海上を走る列車」―そんな摩訶不思議な光景に心を囚われていた。全国の10代が熱狂、第6回高校生直木賞を射止めた冠絶孤高の傑作。
著者等紹介
森見登美彦[モリミトミヒコ]
1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞受賞。10年『ペンギン・ハイウェイ』で第31回日本SF大賞受賞。16年『夜行』で第156回直木賞候補。18年『熱帯』で第160回直木賞候補、翌年第6回高校生直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
納間田 圭
151
えっ⁉︎えっ⁉︎え⁉︎の…オンパレード‼︎ 謎の沈黙読書会に集う怪しい人々。神出鬼没の古本屋…アラビアショボウと読む暴夜書房。小さな無人島に…なぜか椰子の木🌴とコカコーラの真っ赤な自動販売機。満月の魔女と不可視の群島。誰も最後まで読み終わったことがない…熱帯という名前の小説。頭がこんがらがる不思議な世界観は…この作者らしく独特。どうも…かの千一夜物語をイマージュ。登場人物の会話の中から…次から次へと新しい物語が枝分かれ。兎にも角にも…「汝に関わりなき事は語る無かれ」2021/09/26
KAZOO
134
森美さんの小説を久しぶりに読みました。高校生直木賞ということでしたが、結構分厚く内容が込み入ったものでした。前半はどちらかというと千夜一夜物語へのオマージュ的な感じがしましたが、後半はまるっきりのファンタジー物の感じです。よく高校生が読むと思いました。再度読まないとわからない部分が多い気がしました。2021/10/22
『よ♪』
89
千一夜物語の──。──の……の?…っ?誤解を承知で書く。きっとストーリーなんてどうでも良いのであろう。そこに不思議な冒険がある。えーと…箱の中に箱が入っている。その中にまた箱が入っている。その箱の中に更に箱が…。箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の──。そう。宝物。あった。"それ"を大切に元の箱に仕舞う。それを更に箱に仕舞う。更に仕舞う。更に仕舞い更に仕舞い更に仕舞い更に仕舞い更に──。…っ?…あれ?箱が余った…。そんなお話。2021/10/30
mayu
78
熱帯、その本の結末は誰も知らない。それなのに、いや、だからこそ妙に惹きつけられる。前半は熱帯の謎を追って、後半は物語の世界の中で。砂漠を歩き海賊と出会い、魔王と戦う。しかし、魔王でさえも物語を閉じることはできず、謎が謎を呼び袋小路に迷い込んでいくよう。いつまでも冒険が続くワクワクと、終わりが見えない世界に閉じ込められた怖さも少し感じる。千一夜物語になぞらえて。そう、想像を広げ語り続ける限り物語は続くのだ。読み手により受け取り方が違うように、その人にしか見えない物語がある。さあ、私は私の熱帯の扉を開こう。2023/01/15
まさにい
74
仕事の帰りに本屋に積み上げられていたので、つい、立ち読みをしていたら引き込まれてしまった。30ページほど読んでレジに本を持っていく。近くのカフェーで読んでその後自宅で読み進める。いやー面白かった。全体として千一夜物語のオマージュだが、後半の熱帯の島々の話はシェークスピアのテンペストへのオマージュだろうか。とにかく朝起きてちょっと自習をし、その後通勤電車に乗り途中から寝ていて降りる駅で目が覚めると自分は今どこにいるのか、ここにいていいのかという錯覚に陥る。さて、今日の物語は何かだろうと思いながら職場に行く⇒2021/11/26