出版社内容情報
カメラマンの恋人を繋ぎとめるため、ロケ先のホテルのベッドで写真を撮らせるスタイリスト(表題作)。女のくすぶる性を描く短篇集。
内容説明
スタイリストの実香子は、カメラマンの早瀬との長年の愛人関係に倦んでいた。広告の撮影で訪れた沖縄で、実香子は早瀬に怒鳴られる若いアシスタント・浩を見る。その晩、実香子は早瀬に誘われて部屋を訪れるが、隣は浩の部屋で―(表題作)。くすぶる女たちの官能を生々しく描く、著者初期の傑作短篇集。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954(昭和29)年、山梨県に生まれる。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍。82年のエッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」がベストセラーとなる。86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞を受賞。95年「白蓮れんれん」で第8回柴田錬三郎賞、98年「みんなの秘密」で第32回吉川英治文学賞を受賞。2018年紫綬褒章受章。2020年、「週刊文春」の連載が、「同一雑誌におけるエッセーの最多掲載回数」として、ギネス記録に認定される。同年、第68回菊池寛賞受賞。そのほか多数の著書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayu
55
HOBO選書。短編集。人には言えない恋愛とか、裏に抱えた事情とか。後ろ暗いけど、どうしようもなく惹かれてしまう気持ちは、時に人を狂わせる。愛しく想っても自分のものにはならない、だけど、終わりにする決意もできず、一瞬だけの甘美な世界に溺れ、抜け出せない。かなり生々しい描写もありつつ、いやらしい感じではなく蠱惑的に、妖艶に。普通を装ってはいても、きっと頭の中で考えるのは自由だ。80年代に書かれたもので少し時代を感じさせる設定はあれど、表現や感情は古さを感じさせない。2024/02/17
カーミン
32
作者初期の短編集。どれも読んだことがあるはずなのに、憶えていない。それもそのはず、皆80年代の作品だもの。あの頃、私はこの主人公たちとほぼ同じ年で、同じようなことを考えていたのだと懐かしく思う。どれも「少々官能的に」と題されているように、エロチックな表現が多いが、昨今のかんのー小説を読みなれた目から見ると、さほどでもないか……。私は「私小説」って作品が好き!働く女と有閑マダム。ラストの4行に詰まった女の恐ろしさが良い!2024/03/02
JILLmama
22
読んでいて、今の時代じゃない?って確認したら91年に出たものみたい。だから自分の母親が若い時ってこうだったのかな...ってなんとも言えない気持ちに。カラオケとか、スナックとかに行くのが贅沢だったんだね笑2021/08/08
毎日パン
21
軽く読める話でした。2025/02/13
アコ
19
6篇収録。『短篇集 少々官能的に』改題。/え、少々?とツッコミたくなる全篇にあるガッツリ官能シーン。そんな気分でもないし(ってのも変だけど笑)そもそもストーリーに感情移入できずほぼ流し読み。最後の「私小説」がイヤミスの雰囲気があって最もよかった。/初出1987-1988年。もう30年以上前!著者は長く活躍してるなと改めて感じる2022/04/26