内容説明
文政12年3月21日。神田佐久間町の材木置き場で、見習い職人が捨てた煙管の火が燃え上がった。大火がついに江戸を襲う!「私どもは、地獄を見ているのですか」―日本橋を焼き落とした炎が照降町の梅の木に迫ったその時、佳乃は決死の行動に出る。周五郎と町の人々は果たして?そして小伝馬の牢から解き放たれた囚人たちの行方は。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立する。2018年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
90
シリーズ2巻目でほとんど表題にある通りの大火に関するものです。主人公たちが住んでいる照降町の古木の梅の木を家事から守ろうとするところや火事による囚人解き放ちでその囚人たちに狙われる履物屋の財産を守ろうとする話が中心です。また主人公の父親が亡くなり主人公が今後どのように店を復興させていくのかが楽しみです。2021/05/11
タイ子
85
シリーズ第2弾。照降町で鼻緒屋を営む佳乃が江戸の町を襲う大火に見舞われる。まさに「ぼろ鳶組」で描かれる地獄絵図が再現されたよう。たった一つの煙管の火が大火を招いた。今の時代も登山者の一本の煙草の火が山火事を起こしたと言われるけど火は容赦なくすべてを焼き尽くす。佳乃の父は余命わずかで母とともにお寺に避難。佳乃は決死の思いで照降町のご神木を守る行動に出る。火事で焼失した大店の隠し金庫を狙い、牢から一時解き放たれた囚人たちが強盗に。 周五郎の活躍、幼馴染の熱い友情、父との別れ、佳乃のこれからが始まる。2021/05/16
やま
82
美しい佳乃を挟んで男同士の戦いか…。物語は、文政12年(1829年)晩春3月21日神田から出火した火が強風に煽られて大川(隅田川)の西の魚河岸、照降町などを焼き尽くす。そして照降町の復興が始まった同年初夏まで。舞台は、江戸魚河岸に近い照降町。火事の後に鼻緒屋の主人・弥兵衛が亡くなり娘で鼻緒職人の佳乃が名実ともに鼻緒屋と主人として生きて行きます。鼻緒屋の見習い浪人・八頭司周五郎が、佳乃を想い支えるて行きますが、何か言えない事情があります。その佳乃を、幼馴染の船頭・幸次郎が熱い想いで見ています。🌿続く→2021/07/16
真理そら
66
『ぼろ鳶シリーズ』かと思うほど火事一色の話だった。照降町の梅の木を守るために一丸となる話や大店の火事に備えた財産の守り方等々楽しく読んだ。周五郎が大活躍するので佳乃が影薄。次巻では焼けた町の復興と周五郎の個人的な事情が中心になるのかな。2021/05/08
kei302
58
緊迫感あふれる火事の描写。源吾は、新之助はまだか、星十郎 風は? あ…、違ったのね。火の元用心用心。次巻は再出発かな。もういいかな…2021/08/17