内容説明
武蔵野原野は赤土で水源に乏しく、田畑は拓けない。秣場に利用する村々の争いを止めるため、川越藩主柳沢吉保は荒野の開墾を命じる。だが、家老の嫡男・啓太郎は、侍を憎む百姓の正蔵と衝突、互いに反目して計画は進まない。二年の期限が迫るなか、下役人が不審な死を遂げて…。大地に生きる人々の歴史長編。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。女子美術短大卒。フリーライターを経て、2005年、「い草の花」で第12回九州さが大衆文学賞大賞受賞。08年『一朝の夢』で第15回松本清張賞を受賞し、単行本デビュー。16年『ヨイ豊』で第154回直木賞候補、第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
川越藩から2年の期限で命じられた開拓。しかし啓太郎と正蔵のぶつかり合いで計画が進まないのは困りますよね。大地に生きるからこその物語。面白かったです。2022/05/14
fukufuku
5
埼玉県所沢と三芳町にまたがる三富新田の開拓話。埼玉県民になって6年目だが、入間あたりはあまり行かないので、地理もあやふや。が、身近に感じて読むことに。入会地で揉め事が絶えないことから始まる。そして、川越藩主となった側用人の発案で立野の開拓が開始する。開拓地に館を作ってともに暮らす御家老様とその御嫡男。その若様に妙に楯突く男は幼い頃に入会地のごたごたで父を亡くしている。開拓が進まず過酷で難渋する人々。賭博の借金に人死にも出る。開拓といえば明治の屯田兵を思い浮かべるが、こちらも過酷。川越のお芋の礎か。2025/12/25
オールド・ボリシェビク
3
水源に乏しく、新田開発ができない川越藩の領地に、藩主である柳沢吉保は開墾を命じる。百姓と武士は対立と協力を繰りかえしながら、2年という期限の中で、開墾に汗を流していく。栗より美味い十三里、サツマイモで有名な川越だが、その背景にはかくも苛酷な土地があったのだな。犬公方・綱吉の側用人として悪名も高い柳沢吉保だが、なかなか魅力的な人物に描かれているのが面白い。2021/10/17
ES335
2
凄いね。Googleで見ると集落の形が残ってるよ。多少は住宅街や工場になってるけどね。是非、300年後の三富を自分の足で散策したい。今も「むさし野農法」は健在だし、非常に学ばせられた傑作だった。2021/11/05
yoko
2
川越の不毛の地を開拓して川越いもが名産になるサクセスストーリーですが、柳沢吉保や綱吉、荻生徂徠が出てきて面白かったです。武士と百姓の立ち位置の違いと自分自身の中にある立ち位置の違いとを考えさせられました。2021/07/07




