内容説明
日本史上最悪の戦乱、応仁の乱。それはただの戦さではなく、花の都を縦横に走る塹壕で切り刻み、屍で埋め尽くした地獄だった。血と炎の中、救済を求めて彷徨う将軍の妻・日野富子と、宿敵・山名宗全への復讐のため戦場を這いずる男・骨皮道賢。室町伝奇を描き続けてきた鬼才が書き下ろす入魂の歴史伝奇。
著者等紹介
朝松健[アサマツケン]
1956年札幌市生まれ。東洋大学文学部卒。1986年『魔教の幻影』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
61
「室町無頼」を読んでその映画版も見たのでさらに室町時代を味わいたい。ということで手に取ったのがこの一冊。「室町無頼」よりちょっと後の時代の話でこちらも骨皮道賢が出てくるので続編的に読めるかも?と思ったがそうはならなかった。朝松健の作家性も凄いもので同じ室町を描いたとしてもこちらはなんとも禍々しい世界観だし、骨皮道賢の人物造型がまったく違う。そもそも骨皮道賢とは何者ぞ?についても最終的な解答にはロマンがある。あと伝奇活劇みたいな内容を期待してたら、なんと伝奇大戦争みたいな展開になってこれにも意表を突かれた。2025/02/07
眠る山猫屋
50
立川流も逆宇宙も出てこない。出てくるのは『室町無頼』にも描かれた骨皮道賢。魔物も魔人も出てこない。物語は細川勝元と山名宗全による“いくさ”が“戦争”に変えられていく様だ。大量殺戮兵器が導入され、武士の戦が様変りしていく。血に塗れ泥に汚れ這いずり回る地獄のような京に復讐は叶うのか。歴史的にはあまり深掘りされていない時代なので興味は尽きない。足利幕府の施政は天皇禁忌の時代だからね。日野富子の心の徘徊を微かな横軸に、道賢の我武者羅な闘いを主軸に進む物語は不思議と爽やかだ。道賢の死に様と復活劇は、やはり熱い。2021/01/11
サケ太
24
応仁の乱、と呼ばれる争乱の最中にあって、山名宗全への復讐を望む男。琵琶湖の湖族であった男は、かつての名を捨てて、骨皮道賢を名乗る。彼の知らない、戦の様相。地獄と化した京。頼れる仲間たち。西軍の新兵器、霹靂車。東軍の井楼。兵器同士の争いは壮大。血戦の後の決着。想いは、名は、引き継がれる。そして、戦は続く。戦の世を生き抜いていくしかない。2020/12/28
鍵ちゃん
20
日本史上最悪の戦乱、応仁の乱。それはただの戦さではなく、花の都を縦横に走る塹壕で切り刻み、屍で埋め尽くした地獄だった。血と炎の中、救済を求めて彷徨う将軍の妻・日野富子と、宿敵・山名宗全への復習のため戦場を這いずる男・骨皮道賢。応仁の乱自体があまり知らないせいか、先入観なしで読めました。原因は跡目争いだが、最後はなんだかなという感じだったんだな。表現が迫力があり想像絶するところがあるが、あまりにもドロドロし過ぎる。最後の蓮如からの説教が一服の清涼感があり、富子の心の臓を突く鋭さがあった。2021/08/19
yomomo
10
応仁の乱、細川勝元に救われ東軍の足軽として戦う骨皮道賢の話。2023/10/24