内容説明
大学時代の同級生で十四年ぶりに再会したハグとナガラ。転職、別離、介護…人生の折り返し点を前にした、女ふたりの旅物語。
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
673
感涙し、穏やかな気持ちへ誘った。強烈に印象を残す言葉も句もない。しかし、作品表現は心を激しく揺さぶるも平穏に収束。言葉や句の旋律がそうさせるのだろうか。この不思議な原田さんの筆力に魅せられた。修善寺、白神山地、播州赤穂、倉敷、福山、小田原をめぐる旅行短編。2人の女性が互いの利他的おもいやりを育て美しく共有させる。雨を愛でる心境。励ましの「イケる」。他者を理解し、それを共有する利他性。旅程の偶然な出会いへの感動。「凪」以外に表現できない自然風景。人智を超える奇跡に心地よく畏怖し、それらに安堵するかのように。2021/01/01
starbro
628
原田 マハは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、半分私小説的な女二人旅連作短編集でした。オススメは、『寄り道』&『あおぞら』です。阿川佐和子の解説もGOODです。私は、20代まで男二人旅をしていましたが、最近ご無沙汰しています。男一人旅は実行していますが(笑) https://books.bunshun.jp/articles/-/5811?ud_book2020/11/24
しんごろ
617
大好きな“ハグとナガラ”のシリーズが1冊の本になりうれしいね。しっかり年齢を重ねても、この二人の絆の変わらないところは、素敵で羨ましい。無二の親友とは、この二人のことを指してるのかなとも思う。お互い、高齢となった親の面倒もみて、しっかり親孝行もしてるのも好感が持てる。この二人から学ぶことが、いっぱいあった。どんなに忙しかったりしんどかったりしても、その先には小さくても幸せがあるかもしれない。だから、自分も人生を足掻いてみようと思う。先ずは、どこかに旅をしたいね。2020/10/18
ミカママ
607
マハさんのアッチ系の作品はもう手に取ることはないと思うけど、コッチ系はとても好き。今回は学生時代の仲良しふたりが、人生の苦節を経ながらも、合間にあちこち旅行に出かけるお話。ネットのスゴいのは(作中ボカされているにもかかわらず)実際の旅館名を検索すると、イッパツでわかっちゃうところ。大浴場が波打ち際ギリギリまであるという旅館、いつか訪れてみたいな。2020/10/23
bunmei
468
アートとは離れた、女二人による旅行記。何でも包み隠さず胸の内を晒すことができる大親友のハグとナガラの旅。正直、男同士からするとこうした旅は難しいし、女性ならではの関係なのかもしれない。関西弁の軽快な会話の中に、二人だけに染み渡る思いやりの言葉、そして、旅先で訪れた美しい景気が、殺伐とした現実を忘れさせ心を癒してくれる。特に、一枚の美しい絵画のような景色の描写は、流石マハさん。後半の親の介護は、自分にとっても切実な問題。しかしその中でも、二人が旅を通して辿り着いた宝物は、何物にも代えられないものだと思う。 2020/11/17




