出版社内容情報
「名人碁所」を巡る闘いの末、因碩は隠退を決意した。その後も因碩は名人を掴む機会を得るが、却って流浪の人生を歩むことになった。
内容説明
名人をめぐる争い「天保の内訌」は意外な結末を迎え、幻庵(因碩)の人生は彷徨い始める。妻の失踪、弟子の喪失、幕府との軋轢…そして「黒船来航」という未曽有の国難が迫っていた―囲碁に一身を捧げた幻庵が、最後に辿り着いた境地とは?滂沱の涙必至のクライマックスへ、破天荒な男の生き様が炸裂する!
著者等紹介
百田尚樹[ヒャクタナオキ]
1956年、大阪市生れ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年『永遠の0』で作家デビュー。他の著書に『海賊とよばれた男』(第10回本屋大賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソーダポップ
29
碁には「大場より急場」という言葉があり、大場は盤面の最も大きな場所。しかし、それより大切なのは、今この瞬間を逃してはならない急場であると書かれている。死に物狂いの執念を経た末に、会得するもの。それこそが、到底、見えない世界に触れて、果たしてこの世界でやっていけるものかを左右するということ。どの道、プロフェショナルになる為には、必ず才能だけでは、無理があり、死ぬほどの努力や勉強、鍛錬なくして得られるものではない。これが、この著書の最も重いテーマだと感じた。碁打ち達の熱い戦い。上中下、素晴らしい物語でした。2023/06/29
すしな
20
005-21.こう言っては何ですが幻庵は最後までついてないですね。要所要所で勝てなかったり、弟子も育ったかと思えば不幸に見舞われたり、奥さんにも逃げられたりで、単純に物語だけを見ると、丈和が勝ち組に見えてしまいますが、解説を書かれた趙治勲名誉名人も言われてましたけど、勝ち負け以上の感動が囲碁にはあるのだなと。常人には理解しがたいもののようで実際棋譜を見ても理解できませんが、その片鱗を感じることができました。2021/01/15
ロデタ
14
小説を読んだだけでは、本当の人となりはわからないけど本因坊家当主としての矜持を持っていない本因坊丈策のクズっぷりがすごくて本因坊家に対する印象が悪くなってしまった。面白かったが囲碁になじみがない人が読んで面白いと思うかどうかはわからない。2020/09/08
magic makky
13
江戸時代末期の実在のプロ囲碁棋士「幻庵因碩」を中心にその周りを描いた物語。江戸末期は黒船襲来などあり激動の時代だったが、主人公の幻庵も本当に激動の人生だった。囲碁の対局もいくつか描かれているが、詳しく分からなくてもなんとなく雰囲気は掴めた。現代とは情報の量も質も劣っていたのにすごくレベルの高い対局をしていたという。人間はとことんやればすごい力を発揮できるのだと改めて思う。 ところで、著者の百田尚樹さんはどんなきっかけでこの小説を書くに至ったのか?と知りたくなった。2023/11/28
はと麦茶
13
やっとタイトルにふさわしい内容になった。AIの発達でこれからの碁も変わっていくのだろうけど「最適手はこっちだけど敢えてリスクのあるこっちに打つ!」みたいな味わい深い手が出せるのは人間の棋士なんだろうな。2022/07/06