出版社内容情報
深雪は婚約者の俊亜貴と故郷の島を訪れるが、俊亜貴には秘密があった。結婚をして普通の幸せを手に入れたい深雪の運命が狂い始める。
内容説明
深雪は婚約者の俊亜貴を連れ故郷の雪之島を訪れる。結婚をしてありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に…。この島、何かがおかしい―。人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
著者等紹介
秋吉理香子[アキヨシリカコ]
兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。ロヨラ・メリーマウント大学大学院にて、映画・TV製作修士号取得。2008年、「雪の花」で第3回Yahoo!JAPAN文学賞受賞。09年、同作を含む短編集『雪の花』でデビュー。その後、図書館司書として勤務するかたわら、『暗黒女子』を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
machi☺︎︎゛
148
島育ちで東京に憧れていた深雪は進学を機に上京する。そして、何年か後婚約者と共に島を訪れた。しかしその島にはしまたまさんと言う島の神様がいて婚約者はしまたまさんに認められなかったのか。突如婚約者は行方不明になってしまう。離島ならではの孤独感と雪の本当の怖さ、一番怖かったのは人の心の奥にある怖さ。夏の描写もどこか寒々しく感じられる一冊だった。2020/10/17
のり
128
婚約者と共に故郷の離島に帰省した彼女を待ち受けていた運命…東京とかけ離れた田舎の風習・親戚付き合い。戸惑う彼に追い討ちをかける事実が暴かれる。「しまたま」さんを信仰する島民達の暗黙の了解。スーツとスマホが示すのは…愛する者を護るために仮面の下に悪意をしのばせる。次にくる冬にもまた表にでない悲劇が起こる予感。2020/06/03
JKD
95
不気味な話だった。雪之島で育った深雪は都会に憧れ上京。そこで生粋の都会人俊亜貴と出会い婚約挨拶で無理やり島に連れて帰る。そこは本家とか分家とか、堅苦しく根付いた因習やお約束事がありプライバシーもデリカシーもない世界。困惑する二人にやがて俊亜貴の秘密が暴露され俊亜貴は失踪。島を出たい深雪と島から出したくない島民たちとの静かな駆け引きが深雪以外の視点でも描かれていて不気味さ倍増でした。2020/01/19
かぷち
76
新潟沖の孤島で生まれ育った深雪は幼い頃からアイドルに憧れ、島を出る事を夢見ていた。長じて東京で働き始め、恋人と共に里帰りを果たすが… 氷のような冷たい情念に満ちたサスペンス。と書くと横溝正史の作品のような、隔絶された田舎のどす黒い悪意と狂気を連想するかもしれないが、決してそんなことはなく、何処にでもある平凡な日常や笑顔に満ちた生活が淡々とした軽いタッチで描かれている。けど何かが違う、喉に小骨が刺さったような違和感。静かな静かな物語、まさにサイレンス。全ては読者の想像に委ねられる。2024/01/16
キンモクセイ
66
深雪の夢はアイドルになる事だったが叶わず今はマネージャーになり深雪の恋人の俊亜貴は大手広告代理店に勤める育ちの良いイケメン。遂に結婚の約束まで取りつけ故郷に挨拶に行くことに。俊亜貴の本性が徐々に見えてくる。田舎の慣れない土地、本家と分家の関係、深雪の父親のあからさまな態度。挨拶回りで知る俊亜貴の秘密。更に追い討ちをかけるように裏切りの事実。翌朝、俊亜貴が消えた。深雪も帰りたいが島から出れない。それは「しらたまさん」の仕業なのか?何もかも自由で昔の風習がない街にしか生きられない私には雪之島が凄く怖かった。2020/05/21