出版社内容情報
徳川の分家筋・高須に生まれた四兄弟はやがて尾張、一橋、会津、桑名を継いで維新と佐幕で対立する。歴史と家族の情が絡み合う物語。
内容説明
兄弟の誰か一人でも欠けていれば、幕末の歴史は変わった―。石高わずか三万石の尾張高須の家に生まれた四兄弟は、縁ある家の養子となる。それぞれ尾張藩慶勝、会津藩容保、桑名藩定敬、そして慶勝の後を継いだ茂栄。幕末の激動期、官軍・幕府に別れて戦う運命に。埋もれた歴史を活写する傑作長篇小説!新田次郎文学賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、W受賞!
著者等紹介
奥山景布子[オクヤマキョウコ]
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。高校教諭、大学専任講師などを経て創作を始める。2007年「平家蟹異聞」で第87回オール讀物新人賞を受賞。09年、受賞作を含む『源平六花撰』で単行本デビュー。18年、『葵の残葉』で第37回新田次郎文学賞、第8回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
名古屋ケムンパス
72
超ド級の名古屋本です。幕末から維新に至る激流が高須四兄弟の姿を通して克明に描かれます。御三家筆頭の尾張徳川家縁の高須四兄弟が尊王派と佐幕派に分かれて対峙せざるをえくなったのは、歴史のダイナミズムそのものだったのでしょう。将軍を輩出することのなかった尾張徳川家が将軍家の幕引きの役を担う脚本は、劇的にアイロニックでできすぎです。超傑作品2024/01/31
けやき
54
幕末の高須4兄弟の話。尾張藩の徳川慶勝からの視点が多く、知らないことも多かった。他に会津藩の松平容保や桑名藩の松平定敬のことも分かりよかった。2023/10/23
エドワード
53
幕末維新を命がけで生き抜いた、美濃高須藩に生まれた四人の兄弟。尾張徳川家を継いだ慶勝、一橋家に入った茂栄、会津松平家に入った容保、桑名松平家に入った忠敬。これほど数奇な運命をたどり、しかも全員が明治の世を生きた兄弟を私は知らない。彼らは徳川慶喜の従兄弟でもある。京都守護職の容保と京都所司代の忠敬はドラマなどで見聞するが、慶勝もまた幕末の激動を生きている。思いがけず官軍となる慶勝、旧幕府軍で徹底抗戦した容保と忠敬の間を取り持つ茂栄の絶妙な立ち位置に唸らされる。歴史にはやはり偶然があるものだ、と感じる。2021/05/27
sofia
50
幕末の高須四兄弟の歴史小説。私は最近まで高須四兄弟を知らなかった。尾張徳川家の家系図に慶勝→茂栄→義宜→慶勝→義礼(高松松平家)となっていて、そのごちゃごちゃの間にこんな物語があったとは!そして最後に四兄弟の写真が載っている。敵味方に分かれた激動の時代を超えて、四兄弟は皆、好きな方向を見ているのが印象的。今年一番の小説。2021/08/12
りー
34
美濃高須藩の松平家の兄弟たちが主人公。尾張徳川家当主=徳川慶勝・一橋徳川家当主=徳川茂栄・会津松平家当主=松平容保・桑名久松松平家当主=松平定敬。彼らは生家から各家に養子に出、幕末の動乱の中で敵味方に別れた。特に会津の容保様といえば、幕末好きなら伏し拝む存在。この4人が明治になって集まり、一緒に写真を撮っていたという事実を知り、涙。ネット検索したら見られました。人斬りでも新政府立ち上げでもない地味な幕末ものですが、譜代大名家のリアルを見ることができました。慶勝さんの写真作品展、東京でやってくれないかなー。2021/09/26