文春文庫<br> わずか一しずくの血

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文春文庫
わずか一しずくの血

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  • サイズ 文庫判/ページ数 402p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167913687
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

女の片足をバッグに忍ばせ旅をする男。連続バラバラ殺人の真相は!? 沖縄の悲劇を背景に展開される万華鏡のごとき超絶ミステリー。

内容説明

石室敬三の元へ一年以上前に失踪した妻から突然電話がかかってきた。「自分が出ているから」と指示されテレビをつけると、そこには白骨化した左脚が発見されたというニュースが。妻は生きているのか?やがて全国各地で女性の体の一部が見つかり、事態はますます混沌としていく…。驚愕のミステリー長篇。

著者等紹介

連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年、名古屋市に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。77年「変調二人羽織」で幻影城新人賞を受賞しデビューを果たす。81年「戻り川心中」で日本推理作家協会賞、84年『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、『恋文』で第91回直木賞をそれぞれ受賞。96年には『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞した。2013年10月に逝去。14年に第18回日本ミステリー文学大賞特別賞が贈られた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

65
連城作品ということで、期待値を上げて読んだが……女性の立場からすると、こんなに都合のいい女性ばかりゴロゴロいないよ、といったところ。時代背景もあるのかな。2019/10/15

HANA

64
失踪した妻からの電話、それに呼応するように日本列島の各地で見つかる女性の体の一部。一見警察対サイコパスみたいな構図なのだが、それだけに留まらないのは流石は著者といったところ。著者の小説は登場人物全てが浮世の論理で動くのではなく、彼岸で行われている劇のその影の部分だけがこちらに投射されている印象を受けるのだが、本書は特にそれが顕著な気がする。群像劇風になっているのもそれに拍車をかけているのかなあ。ともあれ著者の独特の論理と文体で作り上げられた世界、今まで書籍化されていなかったのが信じられない作品でした。2019/12/24

カノコ

31
薬指に指輪を嵌めた左足の白骨死体が発見されたというニュース。その持ち主は、失踪した妻のものなのか。連城三紀彦式官能小説……と思ってしまったほど、濃厚で粘度の高い描写が多い。どんどんと不可解になっていく事件の様相には心惹かれるものがあったが、その不可解さがスッキリと解れることはなく、読み終えてなお混沌としたままである。事件の壮大さ、動機の荒唐無稽さ、連城の文章でなければ何の説得力もなくなっていただろう。また、登場する女たちがみんな浅薄なのも気にかかった。やはり連城は短編の方が好みだなと思った。2021/12/31

かめりあうさぎ

29
かなり癖のある作品でした。連城先生のなんていうか…官能的な部分がいきすぎるとこうなってしまうというか。ちょっとそういう性癖の部分がいまいち理解できなくてぽかんとしてしまった印象がありましたが。本格ミステリとしては面白く、複雑なプロットや動機を無視した強引さとかも個人的には好きでした。2019/12/22

うさみP

9
『行為を終えても収まらないそれを壁にむけて吐き出しただけです。沖縄はちょうど日本が隠しもっている傷口から流れだした白い血のような気がするんです。残っている体液を使って下半身でその白い血を書き込んだんです』官能ミステリ。蒸発した妻からの突然の連絡。津々浦々を放浪する魔性の男。全国各地に配置されたバラバラ死体の真意は?話の持っていき方自体は強引で導線が弱いと感じるのだが、思い人を犯した二つの国への復讐という荒唐無稽なスケールを個人の物語に無理矢理押さえつける文章力は流石(尻すぼみや違和感は拭えないが)。2020/04/15

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