出版社内容情報
十四歳の少女が同級生殺害容疑で緊急逮捕された。少女は犯行を認めたが動機を全く語らない。捜査を進めると意外な真実が明らかに…。
内容説明
神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生・冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたが、その動機は一切語らない。何故、のぞみは殺されたのか?二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がって―。現代社会が抱える闇を描いた、社会派青春ミステリー。
著者等紹介
天祢涼[アマネリョウ]
1978年生まれ。『キョウカンカク』で第43回メフィスト賞を受賞し、2010年にデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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TERU’S本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
273
読み友さんが高評価していたので手に取ったが、確かに優れモノだった。中二女子が同級生殺害を認めた事件の捜査で、ヒロインの少年係刑事仲田蛍は被疑者の心を想像しなければならないと主張する。現実の捜査は物的証拠が全てであって想像の入る余地などなく、当然リアル志向の警察小説も同様だが、文字通り蛍による想像力の光をあてることで事件の背後にある格差社会の闇が浮かび上がるのだ。平成期に深刻化した貧困の連鎖とセーフティーネットの崩壊、子供の残酷さと未来への絶望感が生んだ犯罪は誰に罪があるのか。このシリーズは追っていきたい。2024/01/09
JKD
158
片親で貧困生活を送る中学2年の女子2人。それぞれが幼少気から抱いていた唯一の希望が失われたとき最悪の絶望感が訪れる。言葉や会話の少ない現代で仲田の推理アプローチは斬新。経済格差がもたらす明暗社会の構図がリアルでグイグイ引き込まれました。2019/10/27
machi☺︎︎゛
146
子供の貧困やネグレクトなど社会問題をテーマに書かれた一冊。中学生のネガの家は母子家庭で超貧困家庭。同級生ののぞみの家は父子家庭で実は貧困家庭。そののぞみが死んだ。親友だと思っていたネガはのぞみの死に納得できなかった。中学生のネガにできる精一杯の抵抗が始まる。後半はミステリ色も強くなり面白いけどやり切れない思いでいっぱいになった。真壁の最後のセリフ、天祢涼さんの言葉で知りたかった。2021/10/11
ジンベエ親分
118
単行本も持ってるってのに、文庫本も買ってしまった(笑) しかも何度目か分からんほど読んでるってのに、またも一気読み(笑) 何度読んでもネガとのぞみの悲痛さに胸が塞がる。特に結末を知っているだけに、この2人が最も希望に溢れていた公開レッスンのあたりから既に号泣。ミステリーとしても奇をてらってないくせに、些細な伏線が後にとんでもない重量感をもって効いてきて、解説者と同じく「凄い小説」としか言いようがない。真壁と仲田のコンビの話もまた読みたいけど、実は「謎解き広報課」の続編も読みたいんだけど(^-^*)2019/10/10
ゴンゾウ@新潮部
110
ショッキングなタイトルと装丁で手にしました。予想をしていた以上に深刻な内容でした。貧困家庭の中で微かな希望をもって必死に毎日を生きるふたりの中学生。フルート奏者の夢を持つのぞみと進学を目指すネガ。微かな希望が潰えて先に起こった悲劇。言葉には言い表せない。。。2022/04/01