内容説明
リーマンショック以降、電子化と規制で一変したウォール街。二軍投資銀行に勤めるブラッド・カツヤマは、何故か株を買おうとすると値段が逃げ水のようにあがってしまう事に気づく。そこには投資家を出し抜く超高速取引業者“フラッシュ・ボーイズ”の姿があった。巨大システムの詐欺と実態を暴いた傑作NF。
目次
序章 幻想のウォール街
第1章 時は金なり
第2章 取引画面の蜃気楼
第3章 捕食者の手口
第4章 捕食者の足跡を追う
第5章 ゴールドマン・サックスは何を恐れたか?
第6章 新しい取引所をつくる
第7章 市場の未来をかいま見る
第8章 セルゲイはなぜコードを持ち出したか?
終章 光より速く
著者等紹介
ルイス,マイケル[ルイス,マイケル] [Lewis,Michael]
1960年ニューオリンズ生まれ。プリンストン大学から、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに入学。1985年ソロモン・ブラザーズに職を得る。ちょうど、ソロモンが住宅ローンの小口債券化を開発した時期に立ち会い、その債券を売ることになった。その数年の体験を書いた『ライアーズ・ポーカー』(角川書店)で作家デビュー。金融ノンフィクションの古典となった
渡会圭子[ワタライケイコ]
1963年生まれ。上智大学文学部卒
東江一紀[アガリエカズキ]
1951年生まれ。北海道大学卒。2014年6月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Satoshi
14
投機的に収益を得られれば良いという証券取引の欺瞞性を顕著に描写した作品。大手金融会社が施設取引所:ダークプールを設置。その取引情報を得た超高速取引業者が所有する光ファイバー網を用いて投資家よりミリセック以下で先んじて取引を成立させる。ただの割り込み行為だが、業者は莫大な利益を得られる。その実態を知った投資家たちが超高速取引を回避した新たな取引所を作る物語。面白く、大変興味深い。また、超高速取引のような行為に世界中の頭脳が活用されているのは才能の無駄遣いでしかない。2024/03/21
緋莢
10
図書館本。<アメリカ株式市場は現在、ニュージャージーとシカゴにある、厳重警備の建物内に設置された「黒い箱」の中で取引されている。その「黒い箱」の中で何が行われているのかは、よくわからない。>買う場合は、それまで表示されていたものよりも高い値で、売る場合はそれよりも低い値で取引が成立してしまうという不可思議な現象が、証券市場で行っていることに気づいた投資銀行に勤める男が、調査を始めて…(続く 2024/10/08
紙魚
4
度重なるルール変更の末に、プログラマの遊び場になってしまった金融市場に再び秩序と信頼を取り戻そうとする金融屋たちの物語。超高速のイカサマ野郎達よりも、顧客を3人殺して一人前な金融業界のエゲツナサにうへぇとなる2020/09/23
郵便屋
3
SBI証券の報道があったので。いま問題になるのはいろいろと遅くない?2019/11/23
鴨長石
2
おそらく誰もが薄々と感じていた、金融市場の法の隙間を突いて「ズル」によって莫大な利益を上げている者どもを、白日の下に曝け出した傑作ノンフィクション。そもそも本来の投資の意味とはかけ離れたマネーゲーム自体を消滅させた方がよいとは思うが、少しでも現状を改善しようとし、そして成功した本書の主人公らを称えたい。考えさせられるのは、この成功の鍵になったのが、主人公チームだけでなく敵側だった企業のトップの良心だったことだ。また、アメリカでは「正義」も「悪」もとにかくエネルギーの注ぎ方が桁違いなことが単純に羨ましい。2020/10/29