内容説明
音楽と言語のあいだには、いまだ十分に見通されていない質的な関係があるように思われる。音楽を治療に活用し、その活用を精神分析的に考察しようとするならば、精神分析がそもそも言語構造を手がかりに人間の関係を解明しようとするものであるだけに、音楽と言語との関係はなおさら重要なものとなる。本書は、この重要な関係が、臨床の現場でいかに紡がれ運動しているかに着目することによって、ミュージックセラピィの効果を検証し、翻って音楽と言語の関係を理論的に考察しようとするものである。
目次
第1部 音楽の治療的応用に関する諸論(ミュージックセラピィの概観;ミュージックセラピィの理論的背景;ミュージックセラピィの事例:グループ活動を中心に;描画に託す音楽・音楽に託す描画:セラピィのコラボレーション;ミュージックセラピィと「病いの語り」)
第2部 言語構造との関連から見る音楽の生成に関する諸論(芸術的営為の道程に存する治療的意義:音楽の根源的シニフィアンを求めて;ミュージックセラピィにおける、音の作用と「機知」の可能性について)
著者等紹介
稲田雅美[イナダマサミ]
同志社女子大学学芸学部音楽学科卒業。英国ギルドホール音楽演劇大学音楽療法専修課程修了。のち、関西学院大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻、1995年に修士(社会学)、京都大学大学院人間・環境学研究科人間・環境学専攻、2009年に博士(人間・環境学)。現在、同志社女子大学学芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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