出版社内容情報
研ぎに出した包平を取りにいった磐音は、傲慢無礼な大身旗本の用人に出くわす。それが笹本孫一の命をも脅かす騒動へと発展し……。
内容説明
秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。そこには、徳川家に不吉をもたらすとされる勢州村正を正宗と改鑿して持ち込もうとする大身旗本用人の姿があった。妖刀に因るものか、磐音はまたもや騒動へと巻き込まれ、やがて、笹塚孫一の命をも脅かす事態に発展し…。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』をはじめ、滞在経験を活かしてスペインをテーマにした作品を発表。99年、時代小説に転向。「密命」シリーズを皮切りに次々と作品を発表して高い評価を受け、“文庫書き下ろし時代小説”という新たなジャンルを確立する。著書多数。2018年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
105
非常に理想的な主人公ですが、男女間のことには疎い感じがします。思い込んだら一途でもとの許婚を見守っているだけです。今回は鳥取の大名家の重臣の娘を救ったことからその娘に言い寄られ、さらには憎からず思っている女性からはやきもちを焼かれるなど、という場面もあります。また浅草弾座エ門が吉原に繰り出してそのためにトラブルが起きるのを未然に防いだりします。よく調べて書かれています。2019/07/16
とし
77
決定版 居眠り磐音「無月ノ橋」11巻。今回もお節介な磐音さん?いろんなことが起こりましたね、笹塚孫一さんが襲われ大怪我を、因幡鳥取藩の大寄合のお姫様桜子さんに思いを寄せられ、おこんさんにやきもち灼かせたり、将軍家治にも名前を覚えれ大忙し、最後は白鶴大夫から贈られた打掛には、磐音の心中は複雑ですね。2020/08/17
yamatoshiuruhashi
33
1巻5話、各話4節の起承転結が明確な構成に磨きがかかっていく感じがする。読み易いが時代背景、社会の仕組みなどの説明を除くと筋立ては簡潔ではある。時代の圧力で使わなくなった差別用語を、事実あったこととして堂々と使用し描く潔さもある。時代背景を書くからにはそうあるべきであろう。段々と「結」部分の白刃のやり取り描写は心なしか短くなったように思う。前巻にて多勢に追い込まれた武士(実は某家の御姫様)を助けたばかりに命を狙われる主人公のスーパーマン的活躍に今回も爽快感を感じる。2019/07/16
ともくん
31
旗本の阿漕な金貸し業。 いつも、痛い目を見るのは江戸市民。 この悪事に、坂崎磐音と南町町奉行所が探索に乗り出す。 そして、決着が付いたと思われていた鳥取藩の内紛も、まだ磐音に絡みついてくる。 どうする磐音。2024/03/31
けろり
29
磐音は本当に様々な事に一途な想いを持っている男だと感じました。それを、話の中で差し込まれるように登場するおこんさんや金兵衛さん、今津屋の面々等と接することで色んな道が彼の前には広がっていて、色んなものが絡んで実を結んだりまた離れて違うものになったりという、人生の複雑さ、それ故に感じられる面白さ愉しさを感じることが出来ているんではないかなと感じました。きっと忘れ得ることは出来ない白鶴への想いを胸に秘め彼は生きていきますが、それを抱えた彼をその想いごと慈しんでくれる人がいることを彼には気づいて欲しいです。2021/07/21