出版社内容情報
「うで」と「デブ」どっちがいい? 究極の選択から始まる表題作をはじめ〈泥沼〉の極限で咲く美しき“クズの花”〈最悪劇場〉四編。
内容説明
“うで”と“デブ”どっちがいい?借金で、首の回らなくなった「俺」の究極の選択とは?予測不能の展開の表題作をはじめ、“泥沼”で咲きみだれる美しい“花”や、極限状況に置かれた底辺の人間の悲哀と希望の光を、リズミカルな文体と、ぶっとんだユーモアでお届けする“イエロートラッシュ”シリーズ全四編。
著者等紹介
平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
1961年、神奈川県生まれ。“デルモンテ平山”名義で、映画・ビデオ批評から執筆活動をスタートし、96年『SINKER―沈むもの』で小説家としてデビュー。2006年短編「独白するユニバーサル横メルカトル」で、第59回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。また、同作が表題作の短編集が、07年版「このミステリーがすごい!」で1位を獲得。10年『ダイナー』で、第28回日本冒険小説協会大賞、11年に第13回大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
購入履歴本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
107
汚くて醜くてなんならちょっと臭さすら漂ってくるのに、なんかもう目が離せなくて本当に面白い。タイトルそのまんまデブを捨てにいく「デブを捨てに」含む四短編だが、いずれも最底辺で生きる人々をなんの憐れみも衒いもなくカラッとした感じで描き出していて、独特のユーモアはもちろん、妙ちくりんな気高さ、美しさすら感じてしまうから油断ならない。世間や社会を怒りをもって突き放したような書き様がとても清々しく、この作家にしかない素晴らしい個性だと思う。2019/07/27
H!deking
96
やっぱり最高でした。神作品認定!2019/08/11
masa
68
たとえば糞に金が埋まっていると聞いても躊躇するのが凡人の人生で、すぐさまなりふり構わずに素手で掘り起こすのが平山の物語だ。しかも金入りの糞だからと糞自体に付加価値を見出すような糞で詐欺まがいなことはしない。あくまで金入りでも糞は糞、糞まみれでも金は金だと醜さと美しさの混在をきちんと認めて分別する。理路整然とした無秩序。これは簡単なようで難しい。そして酷くカッコいい。だから平山は模倣される。だけど模倣された平山っぽい何かはマズすぎて見ていられないのだ。二番煎じこそ糞だ。狼を真似る豚は死ね、デブな狼は生きろ。2021/05/22
aki☆
65
クズ男ばかり登場するブラックな4編の短編集。よくぞここまで最悪なストーリーを…と思わなくも無いけどこの感じ癖になりそう笑。一番良かった(?)のは表題作。タイトルそのままデブを捨てに行く話で、道中のトラブルでは何度顔を顰め引き攣らされた事か。殴られ蹴られ殺されかけるグロに加えゲロまみれ。エログロならぬゲログロには引いたけど結末が気になる面白さだった。どんだけデブデブ言う気だ!と突っ込みつつ満足な結末に思わずニンマリ。2023/08/30
スカラベ
54
ただただグロい頃に比べれば平山夢明も柔らかくなってきたなぁって気がする。強烈なタイトルの本書は世の中のはぐれ者に焦点をあてた4編を収録。登場人物は下衆の極みともいえるどうしようもないダメ人間ばかり。そもそも平山小説で清廉潔白な人間が主人公なんてみたことないような気がするが。表題作はまさにデブを捨てに行く話。ついつい残虐な過程と最悪な結末を予想してしまうが、クソ豚野郎ラーメンの大食い挑戦などなんだか珍道中。グロいのに物足りない人もいるかもしれないが、グロはないけどゲロはあるのでそこんとこ夜露死苦!みたいな。2019/08/10