出版社内容情報
高三の渓哉は野球部を引退、将来も見えずに空っぽの日々を送っていた。ある日道に迷っていた里香という女性を案内することになるが。
あさの あつこ[アサノ アツコ]
著・文・その他
内容説明
おれはなんで、こんなに空っぽなんじゃ―野球部を引退し受験勉強に邁進するはずだった高校3年の渓哉。だが自分の将来を思い描けず、焦燥感に苛まれている。ある日、道に迷っていた美しい女性・里香を案内することになるが…あさのあつこが故郷・美作を舞台に描く“直球”青春小説。書き下ろし短篇「もう一つの風」を収録。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師を経て、1991年作家デビュー。『バッテリー』(角川文庫)で野間児童文芸賞、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、『バッテリー』シリーズで小学館児童出版文化賞、『たまゆら』(新潮文庫)で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学からヤングアダルト、一般小説でもミステリー、SF、時代小説などジャンルを超えて活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
85
久しぶりのあさのあつこさん。高校野球を絡めての青春の1ページ。野球少年が高校球児となり、終わった夏に受験生となる。その夏から秋への中途半端な季節と同じようにどっちつかずの自分自身の気持ち。何がしたいのかも分からず、夢中になれるものもなく、漫然と補習を受ける日々。家業があり、優秀な兄がいて、それを支えるのが当たり前と思う母。双子のように育った親友の胸の内を突然知ることでふりかえる自分自身。……何も考えず大人になってしまったとを少しだけ後悔する。高校生には戻りたくないけれど青春は確かに瑞々しい。2021/12/07
ぽろん
40
とても爽やかな青春小説。遠い昔を思い出す。熱い想いが眩しい。薄めの本なので、一気に読了。2018/12/07
はるき
29
爽やかだ・・・・・。女性作家による、こうであって欲しい男子像。何かくすぐったい。2018/12/06
やじかな
20
まさに青春小説って感じの読後感。何でもできる兄への憧れと妬みというか、そういう苦しい感情もすごくリアルで。渓哉、実紀がいてくれてよかったね。投手と捕手っていいな。ちょうど、昔担当していた高校球児(投手)と連絡を取り合うことがあったから、余計にそう思いました。彼にも、実紀みたいな人がいま近くにいてくれたらいいなと思う。 個人的には、栄美主人公のサイドストーリー「もう一つの風」のラストシーン「逢えたことは真実。それは、揺るがない」。この一言が、とてもずっしりと、そしてスーっと心に入ってきました。2018/12/21
さゆき
17
仕事の関係で知った本で、興味を持ち、読みました。あさのあつこさん初読みです。詩情豊かな風景の中で描かれる高校3年生ゆえの3人の心の葛藤。うまく言葉に出来ない気持ち、溢れ出てしまう感情、地元への思い、ほのかな憧れ…。大人への岐路、自分はこんな頃何を考えて生きていたのだろう、こんなに人の気持ちを考えたり、未来をちゃんと考えていただろうかと懐かしく思いを巡らせながら読みました。美作は以前訪れたことがありますが、あまり覚えていないので、いつかまた行けたらと思います。桜の季節に。2020/09/06