出版社内容情報
ボクシング専門誌から文芸編集者となった那波田空也は、一度は離れたボクシングの世界へ近づく。かつての花形選手立花に再会して…。
角田 光代[カクタ ミツヨ]
著・文・その他
内容説明
ボクシング雑誌の休刊を機に、念願の文芸部門に異動した那波田空也。久々に鉄槌ジムを訪ねると、ジムの花形選手の立花やいじめられっ子の小学4年生・ノンちゃんに出会う。彼らはそれぞれの恐怖を抱きながら「拳」をふるって戦っていた。ボクシングを通して本気で生きるとは何かを問う青春エンタテインメント!
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞を受賞。03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『かなたの子』で泉鏡花文学賞、同年『紙の月』で柴田錬三郎賞、14年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
40
前作「空の拳」で全く無縁のボクシングに関わることになる主人公の空也の2年後の物語。すっかりボクシングから離れていたが、あるきっかけで1人のボクサー立花と関わる。その関わり方が煮えきらなくてちょっとイラッとくるけれど、最後はそうだったのかとスッキリした。ボクシングのトレーニングや試合のシーンでは、汗が飛び散る感じ、体力の限界まで戦う感じが伝わる。2020/04/08
やいっち
38
感動の青春巨編。テレビドラマ化を意識したような。リング上の戦いもなかなか迫力があった。相当に取材したのだろう。今問題になっている、いじめ問題も絡められ、語り手は出版社の編集者だが、作者の作家としての体験や知識も鏤められていて、リアル感がある。快作だとは思う。ただ、たぶん、角田さんの本を続けて読むことはないだろう。入院中だったからこそ手にした本。吾輩のようなロートルには青春の光と影はどちらも眩すぎる。2019/06/22
coco夏ko10角
30
『空の拳』続編。今作もよかった。相変わらずボクシングのルールよくわからないけど問題なく楽しめる。『空の拳』それからのみんな、新しい登場人物も。とにかくノンちゃんに空也がいてよかった。立花が戦ったもの、拳の先にあるもの。2019/04/04
ピース
27
得体のしれない恐怖からは逃げるしかない。それは恥ずかしいことではない。何でもかんでも逃げればいいというのではないんだろうけど、必要な時もあるってことかな?立花が最後にボクシングが嫌いにならなくてよかった。2019/11/24
ひろりん
17
普段はボクシングの試合は観ないのですが、カバーの解説に惹かれて買いました。ボクシング雑誌の元編集者の視線で、彼が旧知のボクサーとジムで出会ったいじめられっ子の少年を軸に話は展開します。それぞれは、自らの中に何かを抱え、周囲は色々言うけど、結局は自分にしか分からない、説明できない不安や恐怖の中で、もがき苦しみながら生きてます。どうしようもない不安から逃れるため、自らを追い込んだり、安心できる場所を探したり、方法は人それぞれ。でも、逃げてもいい、逃げて戦うこともできる、そう教えてくれる話でした。2018/10/21
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