出版社内容情報
争いが続く朝鮮半島と倭国の平和を願う聖徳太子の遣隋使計画。国内外の妨害工作に悩まされながら、若き巫女が起こした奇跡とは――。
安部 龍太郎[アベ リュウタロウ]
著・文・その他
内容説明
時は推古天皇の御世。混乱を極めた大陸に統一国家“隋”が誕生。朝鮮半島は分裂したままだが、東アジアは大きく変わろうとし始めた。聖徳太子は“隋”と国交を結ぶことでアジアの安定化を目論む。そのため、九州の海の民宗像の一族にその橋渡しを密かに命じる。果たして宗像一族は使命を果たせるのか?
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年、福岡県生まれ。図書館司書を経て、88年「師直の恋」(『バサラ将軍』所収)を発表、90年『血の日本史』で単行本デビューを果たす。2004年『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞、13年『等伯』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
59
面白かったです。時は推古天皇の時代で、大きく変わろうとしているアジアだからかもしれません。古代史好きには興味深かったです。スケールが大きく、読み応えがありました。2021/03/29
旅するランナー
31
高句麗・百済・新羅とともに、遣隋使を送り込み和平を目指す倭国の人々を力強く描く。国や言葉は違っても心は通じ合えるという、作者の想いが伝わります。沖ノ島の金の指輪と結び付く展開には鳥肌立ちます。福岡には、この時代と繋がる名残りを感じますネ。2018/10/14
紅香
26
約1400年前にも戦い疲れた4カ国がいた。武器を持って領土を奪還しようとする勢力と共通の和を持って戦争を阻止したいもの。時代はどちらの味方をするのか。。遣隋使、厩戸皇子、蘇我馬子に姫神が住まう沖ノ島と宗像水軍が加わり当時、壮大なプロジェクトだったことが、手に取るように分かった。教科書だけじゃ想像もできなかった点と点が繋がり明白で近しいものとして捉えることができた。救世観音、金の指輪も物語に華を添えてロマンを感じさせる。『どこかで怒りや憎しみを断ち切らなければいつまで経っても戦を終わらせることはできません』2022/04/09
kk
21
中華的冊封システムの下、半島三国との平和的共存を達成すべく遣隋使の派遣を構想する聖徳太子と、意気に感じて航海術でこれを支えるようとする宗像の海人達。任那の故地奪回に向けて遣使を阻止しようとする蘇我氏らの策動。謀略渦巻く玄界灘を舞台にして、可憐なヒロインが命を燃やします。構想的にも空間的にもスケールの大きな物語で、著者の大胆な着想に感じ入りました。他方、登場人物をかなり絞り込んでいるためか、話の大きさの割には小さくまとまってしまったような。その分、読みやすくて良いんだけどね。2020/03/05
鍵ちゃん
17
時は推古天皇の御世。混乱を極めた大陸に統一国家「隋亅が誕生。朝鮮半島は分裂したままだが、東アジアは大きく変わろうとし始めた。聖徳太子は「隋亅と国交を結ぶことでアジアの安定化を目論む。そのため、九州の海の民宗像の一族にその橋渡しを密かに命じる。果たして宗像一族は使命を果たせるか?大和朝廷の時代の生活や歴史についてわかりやすく、壮大に描かれていて面白かった。2021/02/16