文春文庫<br> 山本周五郎名品館〈4〉将監さまの細みち

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文春文庫
山本周五郎名品館〈4〉将監さまの細みち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 480p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167911058
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

孫娘を妾にと言われた祖父の意地「野分」、流産で子を持てない夫婦の哀しみ「並木河岸」、主君と幼友達の歳月「桑の木物語」等九編。生涯、膨大な数の短編を遺した山本周五郎。

没後五十年を経た今なお、読み継がれる作品群の中から、選びに選ばれた名品。短編選集決定版の最終巻(全四巻)



江戸っ子の老人の意地が生み出してしまう孫娘のかなしみ「野分」。

子供を持てない夫婦の行き場のないかなしみ「並木河岸」。

かなしみが新しい人間の関係を生み出す不思議「夕靄の中」。

かなしみを抱いた男と女の最後の救い「つゆのひぬま」。

岡場所の女の消えそうで消えないかなしみ「将監さまの細みち」。



ほかに、「墨丸」「深川安楽亭」「ひとごろし」「桑の木物語」など、全九編。



周五郎は、悲哀を悲哀として描きながら、その悲哀を乗り越える人々の姿を貴いものとして描いている。



巻末に編者・沢木耕太郎氏による解説エッセイ「悲と哀のあいだ」を収録。

山本 周五郎[ヤマモト シュウゴロウ]
著・文・その他

沢木 耕太郎[サワキ コウタロウ]
編集

内容説明

周五郎が好んで書いた舞台、居酒屋と岡場所は「悲」と「哀」が生れるところである。はぐれ者のつどう居酒屋がかなしみの防波堤になり意外な展開をうむ「深川安楽亭」。岡場所の女の消えそうで消えないかなしみを描く表題作。子を持てない夫婦の行き場のないかなしみ「並木河岸」。悲哀を乗り越えていく男と女の貴い姿を描く九編。

著者等紹介

山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903(明治36)年‐1967(昭和42)年。山梨県生れ。26年、「須磨寺附近」で作家デビュー。『日本婦道記』が43年上期の直木賞に推されるも固辞、以後すべての文学賞を辞退した。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』『さぶ』など、多くの傑作を遺す

沢木耕太郎[サワキコウタロウ]
1947年、東京都生れ。『テロルの決算』で79年に大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『一瞬の夏』(新田次郎文学賞)、『深夜特急』、『凍』(講談社ノンフィクション賞)、『キャパの十字架』(司馬遼太郎賞)など常に方法論を模索しつつ、ノンフィクションに新しい地平を開いてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

101
文春文庫から4分冊で出た山本周五郎短篇集の最後の巻です。沢木さんが選んだ作品は全部で36の短編ですがここでは「悲哀」「かなしみ」というテーマで9つの作品が収められています。既読の作品が多く再読ですがこのようなテーマで読むとまた印象が異なりました。「ひとごろし」は2回も映画化されていたようです。私はみていませんでした。最後のエッセイで山本周五郎と山手樹一郎の交情が描かれていて知らなかったことなので参考になりました。2018/07/14

キムチ27

61
3冊連続で読むと、病膏モウ(←差別用語だね)的な感覚に陥る。江戸・・もっとも世界的に中世が「心身共に寒く、身分の段を越える事は無知以前、絶望の時間だと改めて感じる。この作品集、男女の情愛が色濃く結集。岡場・居酒屋・・病夫、父、幼子に囲まれがんじがらめの女たち。身分という見えない鎖が縦横に張り巡らされた隙間で幽かに息をしている人々の息遣い。50歳超は「老女」枯れ木のような手足とざんバラの白髪頭。背景によく登場する老松の情景がぴったり。殆どの場面に登場する酒くらいしか憂さが晴れない。小道具の欠けた茶碗で完璧。2022/11/11

ぶんこ

50
感想を書いている時「悲」と「哀」のどちらを選ぶか迷います。そんな時は自分の感じた心持ちで選んでいたのですが、沢木さんの解説を読んで「悲哀」の違いに「そうそう」と納得したのです。4巻目は女性の「哀」をテーマにした作品集と思っていたのですが、途中から男性の「悲」も感じられる作品が出てきました。見事に「悲哀」が書き分けられています。私は女性だからか「野分」や「墨丸」に心惹かれました。ただ流産を繰り返す妻を持った夫側の心情を描いた「並木河岸」にも感動しました。沢木耕太郎選のシリーズが終わってしまい残念。2019/03/29

kawa

31
沢木耕太郎選最終巻。どの作品も味わい深い逸品。特に周五郎版「坊ちゃん」の趣きの人物造形を主人公に据え、主従を超えた友情を描く「桑の木物語」が今のところのマイベスト短編。2022/06/25

島の猫

14
「悲哀」がテーマのⅣ。岡場所といえば今でいう風俗といったところか。ここでは男女共に現実世界で傷ついた心を埋めるために、居る。それがある程度癒えると男女共に去っていける。しかし女性は生きることとその仕事が同化していてどこにもいけない。彼らはそれが一時のものだと知っているから互いに深入りしないように瞬間的に優しさを交換する。そんな場所で出会った男女が一生を添い遂げるという夢は難しいからこそ、魅力的に見えてしまう。強い引力が、真心か利害かを、冷静に見ることを不可能にさせる。だからこそドラマティックだ。2023/03/06

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