出版社内容情報
去った女、逝った妻……瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影はいまなお男を惑わせる。江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業。
青山 文平[アオヤマ ブンペイ]
著・文・その他
内容説明
女が映し出す男の無様、そして、真価―。太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか―。時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。
著者等紹介
青山文平[アオヤマブンペイ]
1948年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学第一政治経済学部経済学科卒業。経済関係の出版社に18年勤務、経済関係のフリーライターを経て、2011年『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞。2015年『鬼はもとより』が直木賞候補、第17回大藪春彦賞受賞。2016年、『つまをめとらば』で第154回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
102
若手藩士が世津詣をするほどの美貌の持ち主の世津。世津を嫁に迎えたのは、名門の長倉本家の克己、似合いの夫婦に思えたが、思わぬ顚末が待っていた。克己と庄平、二人の妻の明暗がその後の二人の人生を変えることになる。人物設定や展開が巧みで読み応えあり「ひともうらやむ」。俳諧を嗜む武士の妻との出会いと別れ、縁が出来たつゆかせぎの話がいい「つゆかせぎ」。逢対にまつわる思いもしない真実に驚かされた「逢対」。隠居した幼馴染が久しぶり出会い、絆を深める。味わい深い作品、表題作「つまをめとらば」。どの短編もなかなかいい。2024/04/29
アッシュ姉
85
読友さんのオススメ青山文平さん初読み。いい!実にいい。すき!とても好み。こんな時代小説を待ってましたというくらい見事にはまった。上質な読み心地でありながら、堅苦しすぎず気取りすぎない。読みやすいけれど、奥深く味わい深い。題名からも話の流れからも、どう行き着くのか予想できないところが新鮮でまた面白い。追いかけたい作家さんに出会えて、読友さんに感謝!2022/04/15
Lara
83
短編6作品。江戸時代の夫婦の有り様、それぞれ。時代背景の違いがあっても、普遍性を持つ面もある。男と女の業、性差が表されているようだ。2023/05/19
のぶ
77
6編からなる短編集だが、それぞれの作品に関連はなく独立した話。ただ、共通しているのはどれも登場人物のキャラが立っていて、男の弱みや孤独感を出しつつも独特の人情が出ていて、当時の武士の生活が心に沁みてくる良い話ばかりだった。6編のうち5編は男性の視線から見た話で、共感できる部分も多く、今生きる人たちの悲哀と似たところがあって興味深かった。唯一「乳付」だけが女性の視線から見た物語で新鮮に感じ、この作品集の中で一番印象に残った。2018/07/27
五右衛門
76
読了。初読みの作家さんでしたが前評判通り秀逸な短編集でした。各編に登場する男も個性的でしたがやはり特に女性たちが魅力的でいい艶を出していたように思いました。案外江戸の昔も今も女性の思考は変わっていないのかも知れません。他の作品も読んでいきたいです。2018/12/13
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- 和書
- 運命の絵 文春文庫