出版社内容情報
昭和四年。慶應本科に進んだ著者の父は、人生に大きな影響を与える知の巨人――折口信夫と西脇順三郎の謦咳に接し、青春を謳歌する。
内容説明
昭和4年。著者の父・宮本演彦は慶應の予科に通い、さらに本科に進む。教壇に立つのは西脇順三郎や折口信夫。またたびたび訪れた歌舞伎座の舞台には、十五代目羽左衛門、五代目福助が…。父が遺した日記は、時代の波の中に浮かんでは消えていく伝説の人々の姿を捉えていた。“本の達人”が描く小さな昭和史。著者のライフワーク3部作第2巻。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
1949年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら執筆を開始。89年『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、2006年『ニッポン硬貨の謎』で本格ミステリ大賞(評論・研究部門)、09年『鷺と雪』で直木賞、16年日本ミステリー文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
137
続いて第二巻、大学生編です。折口信夫は、知っていましたが、この字で『しのぶ』と読むと思っていませんでした。著者は早稲田ですが、父親に反発したのでしょうか?それともたまたまでしょうか?続いて第三巻へ。トータルの感想は全三部作読了後に。2018/04/24
KAZOO
104
北村さんの「いとま申して」三部作のうちの2巻目が文庫で出されて再読です。最終巻のハードカバーが来月発売されるようです。北村さんのお父さんの日記をもとに100年前の大学生の生活をうまく活写されています。今の学生と比べるとあまり現在のような楽しみはなかったような感じはしますがかえって豊かなしかも充実した学生生活をおくっていられた気がします。三部作すべてを通読したいと思います。2018/03/18
けいこ
20
父の日記を中心に、いろいろな人達の手記や世相を織り込んでいて、昭和初期の様子が伺えました。現代より歌舞伎や文楽が身近で、観劇にのめり込む父親の若き日々。国文学にも夢中になって、折口信夫(釈迢空)に師事します。折口信夫の人間性が少し垣間見えて、親しみが持てました。5代目中村福助の女形としての生き様がとても印象的でした。2019/03/13
pugyu
7
北村薫さんのお父さんの慶大生時代の話。戦争中でも日常はある。実家の家計が傾いてきて、食費や交通費をケチる感じがよくわかる。普通の日記より意義があるのは、大学の教壇に立つ折口信夫やその周りの人たち。そして客席から観た歌舞伎役者。歴史になった人を間近で見ていたんだな。私たちの暮らしもいつか歴史になるのかな。2019/11/12
24う゛ぃれっぢ
6
北村薫が父の日記から昭和の時代を描く第二弾。巨人・折口信夫とその周囲を絡め、昭和初期の風俗を描くのは圧巻。今も変わらぬ若者の焦燥に妙な親近感が湧きます。しかし、密度が濃いなあ。2021/02/28
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