出版社内容情報
鬼平誕生50年の2017年、本格時代劇アニメ「鬼平 ONIHEI」登場で話題沸騰。
原作はもちろん、池波正太郎の「鬼平犯科帳シリーズ」である。
人気絶大のシリーズを、さらに大きな文字とふりがなを増やした
【決定版】刊行もいよいよ最終巻。
掉尾を飾る「特別長篇 誘拐」は、著者急逝のため未完である。
24巻には、ほかに「女密偵女賊」「ふたり五郎蔵」の2篇と、
尾崎秀樹「池波正太郎の文学」を収録。
決定版刊行にあたり、
「ふたり五郎蔵」の池波正太郎による挿画と、
江戸史研究家・秋山忠彌「平蔵の好きな食べもの屋」を新たに収録した。
内容説明
おまさは、昔の仲間・お糸を茶店で見かける(「女密偵女賊」)。火盗改メの役宅にきた新しい「まわり髪結い」、その名は五郎蔵だった(「ふたりの五郎蔵」)。荒神のお夏はおまさへの思いを断ち切れず…未完となった最後の作品「誘拐」。尾崎秀樹「池波正太郎の文学」と秋山忠彌「平蔵の好きな食べもの屋」を併録する「鬼平」最終巻!
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
大正12(1923)年、東京に生れる。昭和30(1955)年、東京都職員を退職し、作家活動に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、35年、第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。52年、第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。63年、第36回菊池寛賞受賞。平成2(1990)年5月3日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
103
最終巻です。ここでは、表題作となっている未完の「誘拐」のほかに2作の短編が収められています。鬼平の義理の妹が同心の小柳の後添えとなる様子や鬼平を無きものにしようとするたくらみが語られています。表題作ではやはり以前お話で逃げた女賊が密偵おまさに絡んできます。途中で終わってしまって残念ですが、完成させてくれる人はいなかったのでしょうか?みんなしり込みしたのでしょうね。北森鴻さんの作品ではいくつか完成させてくれた人もいるようですが。2023/09/12
優希
52
遂に最終巻です。盛り上がってきたところで未完になってしまったのが残念でなりません。2023/03/17
金吾
30
おまさを通じ密偵の苦悩が伝わります。これからという感じの時に終焉なので寂しくなりました。2024/02/16
Kira
15
図書館本。シリーズ最終巻。未完の長編「誘拐」を含む3篇収録。作者は逝去されるまで「オール讀物」に遺作を三ヶ月続けて書いていた。鬼平シリーズの初出誌を見るたびに、ほとんど休まずに毎月連載が続いていたことに驚く。梅安や剣客商売の連載も並行して、こんなに面白い話を毎月書いておられたのである。まだ書きたい話がいくつもあると語っていた作者の冥福を祈りながら、私はまたシリーズ読みを繰り返すことと思う。池波小説は何度読んでも面白い。2021/07/03
さく
13
荒神のお夏が京都で暴れ、江戸におまさに近づいてくる。おまさが覚悟していたとおりに。お園はようやく幸せを手に入れた。誘拐は未完となったが、想像が無限に広がる。鬼平に池波作品に出会えて良かったです。いつの日か読み返すのが楽しみ。鬼平の優しさ、人間的な機微、江戸の世俗、様々に合わせて、火盗改が機能していたんだなぁと思いました。素晴らしい作品でした。2021/02/02