出版社内容情報
江戸のおんなを描いて「不世出の名人」と評された杉本章子、最後の傑作。大店の若新造から転身した人生の機微を描いて、泣かせます。
内容説明
江戸のおんなを描いて「不世出の名人」と評された作家による最後の傑作!夫が浮気相手と子まで生したことに嫌気が差して、おこうは婚家を離れた。実家に戻っても安息は訪れない。奉公人の周旋や仲介をする口入れ屋の女主人に雇ってほしいと必死で頼んだのだが。単行本未収録の「ふたたびの浮き世」も掲載
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei302
63
杉本章子さんの最後の作品。書籍化されなかった短編も加えられている。訃報を知り、しばらくは、時代小説を手に取る気分にならなかったことを思い出す。 解説は、宇江佐さん、杉本さんと同年代の諸田玲子さん。 文体の小気味よさでは杉本さんが頭一つリードといったところか。 倒されても起き上がり、浮き世の水に沈んでも潮に乗って浮かび上がる…。良作です。早世が惜しまれます。2022/02/22
優希
51
夫の浮気が原因で実家に戻ったおこう。口入れ屋に雇ってもらい、人と人の縁を見ていくうちに、おこうにも思わぬ縁が舞い込みます。最後は幸せになれてよかったなと。2021/03/12
はにこ
22
夫が浮気して子供まで出来て、婚家を追い出されてしまう。出戻りになって実家で金まで取られたおこうが口入れ屋を引き継ぐ。おこうが口入れ屋として繋いだ縁が幸せに導くものが多く、心が温かくなった。遠くの縁者より、近くの他人の方が頼りになるこの時代が羨ましくもあった。辛い目にあったおこうがハッピーエンドで何より。初読みの作者さんだったが、とても良かったので他の作品も読んでみたい。2020/11/11
Aki
9
大好きな杉本さんの作品。文章の表現もすてきだし、主人公のおこうさんもとても素敵な人。もっともっと杉本さんの作品を読みたかったな・・・2017/11/04
アボガドみよ
7
初めて読む作家さんでした。おなごの生き方が描かれており興味深かったです。家に「起き上がり小法師」があったので、ツンツンしながら読みました(^^♪2019/08/20