出版社内容情報
今回は、晴明の好敵手にして、酒をこよなく愛する法師陰陽師・蘆屋道満の人間味溢れる意外な活躍にも注目のシリーズなんと第14弾。
内容説明
稀代の陰陽師・晴明と心優しき笛の名手・博雅が活躍する六百万部超の人気時代小説第14弾。今回は、晴明のライバルにして、シリーズ登場人物で人気第三位でもあり、酒をこよなく愛する播磨の蘆屋道満が大活躍。彼を主人公にした三本の短編が登場。通常のシリーズとは、ちと違う平安の幽玄とあわれの世界に読者を誘います。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
昭和26(1951)年、神奈川県小田原市生れ。48年、東海大学日本文学科卒業。52年、「奇想天外」誌に「カエルの死」を書いてデビュー。『上弦の月を喰べる獅子』で、平成元年に第10回日本SF大賞を受賞。『神々の山嶺』で、10年に第11回柴田錬三郎賞を受賞。『大江戸釣客伝』で、23年に第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、翌年に第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
137
文庫本新刊です。このシリーズはいつも単行本を読んでさらに文庫本を再読するのが読んでいなかったようです。この中には9つの短編があり、単なる季節感を感じさせるようなものもあります。蘆屋道満が3回も出てきて酒の好きないい人間になりつつあります。対決がほとんどなくなったのは残念です。今回はさらっと読んでしまってあまり印象に残るものが少ない気がしました。2017/06/10
KAZOO
108
6月に読んでいましたが、シリーズを再読していて文庫本の最新刊ということで再度読んでしまいました。最初の頃から通読して感じることなのですが、作者も年を召されたのか、話が柔らかくなっている感じがします。さくらの精の話や蘆屋道萬も正義的な動きで晴明の味方になっている感じです。いつ読んでも楽しめます。2017/11/14
しゅてふぁん
69
「人を褒めるときは、もそっとわかりにくく、遠まわしに言うものだ」「何故だ」「言われた方が困ってしまうからだ」「博雅よ、おまえ、困ったのか-」…この二人、可愛すぎる~(´艸`*) 博雅が降る雪を見ながら、人の心にも歳月という白い雪のようなものが積もり、哀しみや恨みが白い清いもので包まれるのならば齢を重ねるのも悪くないと語っている場面、さすが博雅、良いこと言うなと。清明が怪異を解明するのも面白いけれど、この二人が語っている場面が好きだな。2019/05/30
眠る山猫屋
60
やさぐれただけじゃない、優しさも秘めているじゃないか蘆屋道満。キャラクターがブレてしまうのは嫌いなんですが、道満はいい。チラチラっと見え隠れする寂しさや諦観なんかが、より深みを、陰影を増す。清明より人間臭くて・・・とはいえ、この巻の清明は、若干開き直った博雅に少し押され気味なんだけど。2017/07/19
Richard Thornburg
43
感想:★★★ シリーズ第14弾。 9篇の短編で構成されています。 季節的に梅や桜の咲く現在(3月)と合ってる話もあり、いい雰囲気のままサラリと読めました。 何となく一話当たりが短くなってるような気になるのは残念ですが(笑)博雅サンの詩人的アプローチに磨きがかかっているような気が・・・ 今回も道満サンの登場シーン多めかな。 最近の道満サンは闇で暗躍って感じではなく、神出鬼没な助っ人のイメージになってますね。 あとがきで書かれているのを読んでも納得です。 2018/03/15