出版社内容情報
故郷に戻り、深夜バスの運転手として二人の子供を育ててきた利一。ある夜、乗客に別れた妻の姿が――。家族の再出発を描く感動長篇。壊れた「家族」という時計は再び動き出すのか
故郷に戻り、深夜バスの運転手として二人の子供を育ててきた利一。ある夜、乗客に別れた妻の姿が――。家族の再出発を描く感動長篇。
伊吹 有喜[イブキ ユキ]
内容説明
故郷に戻り、深夜バスの運転手として働く利一。子供たちも独立し、恋人との将来を考え始めた矢先、バスに乗車してきたのは、16年前に別れた妻だった。会社を辞めた長男、結婚と仕事で揺れる長女。人生の岐路で、忘れていた傷と向き合う家族たち。バスの乗客の人間模様を絡めながら、家族の再出発を描いた感動長篇。
著者等紹介
伊吹有喜[イブキユキ]
1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。2008年『風待ちのひと』(「夏の終わりのトラヴィアータ」より改題)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
521
久しぶりに読んだ伊吹さんの「優しい」家族の再生物語。まぁあれだ、そもそもこの優柔不断オトコが、嫁と子どもを連れて生家を出ていれば、こんなことにはならなかったんじゃないの。それをしなかったがために、アラフィフの今なお元嫁に未練を持ちながらも、ひとまわり年下の彼女ともよろしくやっていた、、、ところに〜〜という作品。しかしこのオトコは推定W大のSK学部出身で、高身長(クドイくらい描写される)の色男。まぁモテるんでしょうな。さて、この優柔不断オトコがくだした決断とは?それだけでも読む価値あり。2020/03/16
さてさて
332
『いくつかの候補の土地があった。その中で新潟〜東京を結ぶ、長い関越トンネルが一つの鍵になった』と語る伊吹有喜さん。そんな伊吹さんが『トンネルを超えると男、戻れば父親という二面性を描けるのではないかと思った』と続けられる通りこの作品では男と父親のそれぞれの姿を見せる主人公・利一の姿が描かれていました。そんな利一が、そして構成員のそれぞれが『家族』の今を考え、それぞれを思いやる様が描かれていくこの作品。それだけでドラマを感じさせる『夜行バス』が持つ独特な空気感を物語世界に上手く溶け込ませた印象深い作品でした。2022/01/24
🅼🆈½ ユニス™
188
151回直木賞候補作品。& 初伊吹有喜作品。まさに伊吹さんの ’語り方‘の魔力に溺れて幸せを満喫した時間だった。文字で色を塗った美しい映画を観ていたような…。何て綺麗な小説だろう❗️ 素晴らしい一冊であり、伊吹有喜さんの他の作品は全て ”必ず“ 完読して見たいと思った。天晴れ!高宮利一!👍2018/06/29
相田うえお
168
★★★☆☆17021 つららが女になり嫁に来た物語知ってる?風呂に入らない妻を遠慮だと思って入らせたら出てこない。風呂に行ったら桶だけ浮いてた。これ実存民話?謎!あと鶴の恩返しはテーマが謎!鶴の羽ってどう頑張ってもダウンジャケットの中身が精一杯じゃ?鶴の羽で機織り可能か謎?当方は「機織り作業中は部屋を覗かないでね」という会話にこの謎解きの鍵があるとみてます。原材料鶴の羽で機織りする事自体が高度生産技術で企業秘密!そういう見学は普通「許可無き者は入室禁止!撮影禁止」です。遠回しな技術流出問題テーマかな!^^2017/03/19
yoshida
165
この作品はあまり合わなかったかな。端的に言うと暗い。そして間が悪い。考えすぎて、曲解して人を傷付けてしまうのがやるせない。ネガティブな事件が次々と起きるので気持ちが滅入ってしまった。私は終わったことは、極力、気にしないように努める。決断した時に最大限の努力をしたと思うから、終わったことを気にしても仕方がない。勿論、考えることは悪いことではない。反省することも大事だ。だが、過去にとらわれ過ぎると前に進めなくなる。後悔のない人などいない。そこからどう生きるか。現実は厳しい。だからこそ、物語には明るさも欲しい。2020/06/24