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内容説明
忠臣蔵の「昭和定本」をいろどる人間模様の数々―。血をみてはならぬ殿中で、浅野内匠頭が吉良上野介めがけて腰の小刀を一閃したとき、赤穂藩五万三千石は音もなく崩れた。太守は即日切腹、城は明け渡し。三百の藩士とその家族の驚愕と困惑。それは突如として襲う直下型の激震にも似ていたが、強烈な余震はまた世人を驚倒させずにはおかなかった。四十七士の吉良邸討入りである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
98
忠臣蔵をそれぞれの立場で描いており、単なる赤穂浪士の討ち入り事件としてのみ捉えない見方が伺えました。悪役と思われがちな吉良上野介ですが、単なる悪人として描いていないのが新たな視点を織り込んでいると思います。実際吉良上野介は庶民に慕われる武士であったと聞きますしね。また、赤穂浪士たちの討ち入りに至るまでのあり方も色々あったのだなと思います。皆が皆、浅野内匠頭に従おうとしたわけではなかったのですね。いよいよ討ち入りがなされようとしており、どのようなドラマが描かれるのか気になります。二巻へ。2017/04/04
海猫
82
年末年始に時代劇の長時間ドラマがあれば見ようと思っていたが、放映が特に無かった。代わりに長めの時代小説を読もうとこれを選ぶ。吉川英治の文章は古風だが、慣れれば格調を感じる。会話文の活きが良く独特のリズムがあり、キビキビ展開し引き込まれた。吉良上野介のイビリの酷さがあった上で、浅野内匠頭に感情移入しやすく書いてある。なので刃傷に至るまでの流れが自然。心理描写も巧みに思う。ここがしっかり描けているので、後のドラマ展開にも気持ちが入って読める。この巻終盤で大石内蔵助は、放蕩三昧を始めてしまったが、さてどうなる?2021/01/06
Book & Travel
43
大筋は頭に入っているが、細かい所はうろ覚えの忠臣蔵。子供の頃に毎年ドラマを見ていたという妻から、その細かい所が面白いのにと言われ、この機に手に取ってみた。昔読んだ三国志以来の吉川英治。浅野内匠頭刃傷直後の殿中の動き、事件を知る家来衆、裁決後の赤穂家中、市中の様子、吉良側の備えなど、時々刻々と変わる状況が様々な人物に焦点を当てつつドキュメンタリーのように描かれ、その緊迫感に引き込まれる。内匠頭は清廉な好人物に描かれるが、それにしても残された人々の混乱を思うと踏み止まれなかったのかとも思う。赤穂藩士たちの→2020/12/08
金吾
24
一般的な解釈の忠臣蔵ですが、吉川英治さんらしい表現で読みやすいです。善悪をはっきりさせていますので、浅野側に感情移入してしまいます。吉良にしてもいい領主であることは書かれていますが、夫人からの言葉はかなりきついです。それにしても高田郡兵衛の離脱の早さはなかなかでした。2021/02/21
糜竺(びじく)
19
忠臣蔵の話自体はそんなに好きでも何でもないけど、大好きな作家の吉川英治氏の作品ということで読んでみた。個人的には今のところ、普通というか微妙。下巻へと続く。2022/10/30