出版社内容情報
震災の直後にネムオがツイッターで始めた言葉遊び。会ったことはないのにつながっている人々の日々を描き、穏やかに心を揺する傑作。静かなやさしさが皆をつなげる長編小説
震災の直後にネムオがツイッターで始めた言葉遊び。会ったことはないのにつながっている人々の日々を描き、穏やかに心を揺する傑作。
長嶋 有[ナガシマ ユウ]
内容説明
何をしていましたか?ツイッターに投げられた質問に思い思いの答えを返す人たち。問いの全文が知らされるのは答えが出揃ってから―小説家のネムオが震災後に始めたそんな言葉遊びが、さまざまな場所にいるさまざまな男女の人生を丸くつないでゆく。この著者にしか書けない、静かだけれど力強い長編小説。
著者等紹介
長嶋有[ナガシマユウ]
1972年生まれ。2001年に「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞を受賞しデビュー。02年に「猛スピードで母は」で第126回芥川賞を受賞、07年に『夕子ちゃんの近道』で第1回大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
96
何、この小説!と言うか小説?作家ネムオのツイッターで言葉遊びに興じる人々。彼らの視点が章に関係なく目まぐるしく変わり、誰の話だったか、混乱してしまう。でも段々とそれが自分の知り合いの日常のように思えて来て、アイコンで誰かを認識しているのは私も同じだなあと、話の中に自分の読友さんを思い浮かべてしまう。舞台は3.11の後、全体的に何となく虚無感というか、だからこそネットの世界に耽溺してしまうのかな?とも思えるような、全体的にうっすらと膜がかかったような、それは寂しさなのか?でも大人は寂しくてもいいらしい。2019/12/02
佐島楓
61
意味のない言葉遊びに興じる人々にも、向き合わなければいけない現実があった。深刻な話が出てこないぶん、深刻な話に思えてしまう。改行なしでつながっていくネットだけの付き合いの人々の生活は、奇妙ながら実在しそうなリアリティも備えている。確かに、「この著者にしか書けない」世界。2016/08/26
nemuro
50
『キャスターという仕事』(国谷裕子)に続き“しりとり読書”の81冊目。『とにかくうちに帰ります』(津村記久子)、『ときめかない日記』(能町みね子)そして『年下のセンセイ』(中村航/別途、すでに読了)を振り切っての選定。「ツイッターに投げられた質問に思い思いの答えを返す人たち。問いの全文が知らされるのは答えが出揃ってから」。登場人物が多くこんがらがってしまったのだが気にせず読み切ってみた。面白いのだろうが群像劇はちょっと苦手かもしれない。初遭遇の作家。本棚には他に『佐渡の三人』と『祝福』。さてどうしようか。2022/11/11
いちろく
47
本当に著者は男性なのか?色々な作品を読めば読む程、女性と思えてしまう、男性とは思えない感の鋭さや文章表現が目につく、長嶋有。ツイッター上での「コトバ遊び」のやり取りを扱った本書は、これまで読んできた他の作品と比較しても、登場人物達の関わりが多く、群像劇の体裁を成している。だからこそ、余計に感の鋭さの表現が際立ち、読む側を混乱へと誘う。本当に男性なの?長嶋有。2017/11/03
アマニョッキ
47
私はたまに、始まった瞬間に永遠に終わってほしくないなと思う作品に出会うことがある。奥田民生の「イージュー・ライダー」だったり、エミール・クストリッツアの「黒猫白猫」だったり。この「問のない答え」もまさに私にとってはそれで、大好きな作品だ。終わってしまうのが寂しくていつも大切に大切に読む。文庫版にはおまけの一章も付け加えられて、最後にまたにやりとさせられた。 再読したことにより、ずっと手を出さなかったTwitterを今更本気で始めたくなるとは!恐るべし長嶋有の影響力!笑2016/08/15