出版社内容情報
神々の逢瀬に歯噛みする猿、秋に桜を咲かせる木、蝶に変わる財物――京の不思議がつぎつぎに晴明と博雅をおとなう大人気シリーズ。弁才天はいつから琵琶を持つようになったのか?
神々の逢瀬に歯噛みする猿、秋に桜を咲かせる木、蝶に変わる財物――京の不思議がつぎつぎに晴明と博雅をおとなう大人気シリーズ。
夢枕 獏[ユメマクラ バク]
内容説明
この頃都で評判の「蝦蟇法師」がいた。犬ほどの大きさの蝦蟇をそばにおき、それが念仏を唱えて失せ物の在りかを当てる。ところが藤原景之の仏間から消えた黄金の観音菩薩の行方は分からないという。不審に思った晴明と博雅は(「蝦蟇念仏」)。秋に花咲く桜の木、天空で笛吹く博雅などいよいよ冴えわたる美しさ、面白さ、至福の十篇。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
昭和26(1951)年、神奈川県小田原市生れ。48年、東海大学日本文学科卒業。52年、「奇想天外」誌に「カエルの死」を書いてデビュー。『上弦の月を喰べる獅子』で、平成元年に第10回日本SF大賞を受賞。『神々の山嶺』で、10年に第11回柴田錬三郎賞を受賞。『大江戸釣客伝』で、23年に第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、翌年に第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
185
文庫本での陰陽師シリーズの最新刊です。14年初頭にに単行本で出たのを読んでいるのですが、このような時でないとあまり読み返さないので再読です。昔に比べると少し毒っぽさが薄れてきているように感じています。花とか笛の音ををたのしんだりとか、そのような話がこの巻に限ってなのでしょうか、少し多くなってきています。最初から読み直そうかなと思いますが時間が・・・。2016/10/17
KAZOO
113
表紙の絵になっている蒼猿が2度登場します。さらにこんごもでてくるのでしょう。道満も登場します。合いも変わらずひょうひょうとしている感じです。10の作品が収められていますが、短いものもあります。博雅がつもながらいい男に描かれています。2017/10/17
眠る山猫屋
54
爽やかでほんの少し、哀しい。哀しい何かが仄かに馨る。素晴らしさに遜色なし。今回は道満や博雅しか出てこない物語もあるし、より平安の神々や人外のもの達との関わりが深かった気がする。青猿もね。少し力が抜けたようでいて、どの物語もクオリティが高いまま。絶品ではないか。ただ感嘆。2016/06/23
shikashika555
48
おなじみ 安倍晴明が主人公の不思議譚。 夏の鬱陶しい暑さと不快からひと時意識を異界に飛ばしてくれるような 濃すぎず味わい深い十編でした。 「月の道」「仙桃奇譚」に出てくる蒼猴、村上春樹の品川猿を思い出してしまった。 こちらの話では女神に懸想する蒼猴。 異界に住むものへの愛というのは、成就しがたい。 相手にすれば嫌悪と恐怖の対象になり得る。 その感じ方の差異を 言葉で共有出来れば、もしかしたら通じ合えるのかも知れない。 そこに異種間の愛の希望があるのかもしれないなぁ、などと感想超えて考えが逸脱。2021/08/01
ポチ
46
いつ読んでも和みますね。博雅の笛の音を聞いてみたいです。2024/05/11
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- 和書
- 元首の謀叛