出版社内容情報
巨匠の妖しき名作を桜庭一樹が厳選!
日本推理小説の巨匠・江戸川乱歩が没して50年。名作に光を当てるアンソロジー第1弾は「パノラマ島綺譚」「陰獣」など傑作七編。
内容説明
デビュー作「二銭銅貨」、明智小五郎初登場の「D坂の殺人事件」、大正期の退屈と倦怠を犯罪に描いた「屋根裏の散歩者」、絢爛と恐怖の箱庭世界「パノラマ島綺譚」…。初期傑作にして“異形の問題作”「陰獣」を中心に、七つの小説と二つの名随筆を厳選。直木賞作家・桜庭一樹が案内する、妖しくも美しい巨匠乱歩の新世界。没後50年特別アンソロジー。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894(明治27)年‐1965(昭和40)年。本名は平井太郎。1923(大正12)年『二銭銅貨』でデビュー。初代日本推理作家協会会長を務めるなど、日本探偵小説の第一人者として活躍した
桜庭一樹[サクラバカズキ]
1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』と改題)で第1回ファミ通エンタテインメント大賞に佳作入選。2003年開始の「GOSICK」シリーズで多くの読者を獲得し、04年に刊行した『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価されて注目を集める。06年刊行の『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞。08年『私の男』で第138回直木賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
103
文春文庫版傑作選3つのうち《獣》。初期短編を中心に選ばれた7篇。既読ながら「二銭銅貨」での暗号にワクワク、「D坂の殺人事件」で明智初登場にときめき、「屋根裏の散歩者」で究極の変態的思考にニヤリ、そして「パノラマ島綺譚」での幻想的かつ薄気味悪い世界をゾクゾク堪能。最後に読む淫獣ならぬ「陰獣」まで描かれるのは〈人〉としての優しさと〈獣〉と化した悪魔ぶり。終盤に怒濤で語られる自虐引用に引き込まれながら、今作での元ネタ作品全て並べた趣向にうならされて了(しま)った!仮令(たとえ)評価分かれたと言えど僕は大好きだ!2023/06/28
いたろう
45
桜庭一樹編の言葉につられて手に取ったものの、よく知られた乱歩の代表的な短編が並んでいて、殆どが既読。折角なら、もっと隠れた名作みたいなものを選んで欲しかった、と思ったら・・・。最後の「陰獣」で、「二銭銅貨」「一枚の切符」「D坂の殺人事件」「屋根裏の散歩者」「一人二役」「パノラマ島綺譚」について触れていて、そのすべての作品がこの短編集に含まれている。つまり、ちゃんと予習をした後に「陰獣」が読めるつくりになっていたとは。「陰獣」再読だったのに、改めて読むまで気づかなかった。成程!の短編集。2017/01/23
かおり
28
一度読み始めて挫折して、再度挑戦。なんとか陰獣までたどり着いた、という感じ😖疲れた。次(湊かなえ編)は···元気な時に読もう😅2019/11/07
ひろ
26
既読の話もいくつかあったものの、選出の妙が光る短編集だった。兎にも角にも「陰獣」。この一冊の核であり、一番の印象を残す。ミステリとしても抜群に面白いのだけれども、依頼者の女性がなんとも蠱惑的で惹きつけられてしまう。この話に限らずエログロ描写に品があり、読んでいても嫌な心地がしない。むしろその非日常に酔いしれる。改めて乱歩作品の凄みを感じ、もっと触れてみたいと思った。2018/07/28
紫伊
20
パノラマ島奇譚目当てで読んだのですが、どれも面白かったです。怪人二十面相が好きだったころの私には怖かったこの物語たちの妖しい魅力が理解できるようになり、大人になったなぁと思いました。また構成も見事で初めて読む陰獣ではこうつながってくるのか驚きました。順番通りに読みたい短編集。お目当てパノラマ島奇譚は作り上げられた世界の不気味さと艶やかさに魅了されました。2017/09/09